Netflix、ワーナー作品の公開期間を17日間に? 『ストレンジャー・シングス』にみる最新動向

Netflix、ワーナー作品を17日間の公開に?

 新年あけましておめでとうございます。今年も本連載「興収で読む北米映画トレンド」を、どうぞよろしくお願いいたします。

 ワーナー・ブラザースの買収契約を締結したNetflixが、今後はワーナー作品を17日間のみ劇場公開することを求めている――。2026年が始まって早々、SNSでにわかに物議を醸した報道だ。

 もちろんこれは非公式発表だが、既存の映画館が45日間の独占上映を求めていたこと、観客サイドもある程度はそれを前提としていたことを鑑みると、「17日間」という数字はいささかショッキングだ(もっとも日本の映画館の場合、不入りな作品が1カ月以上も広く上映されていることはほぼないように思われるが)。

 2026年、第1回目の原稿でこの話題を取り上げるのは、実はこのトピックが昨年の振り返りと、年末年始の重要なイベント上映に深く結びついているからだ。

 そのイベント上映とは、Netflixの超人気シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』最終話(シーズン5フィナーレ)の劇場上映企画。北米では2025年12月31日から翌2026年1月1日にかけて620館以上で上映され、2日間で2500万~2700万ドルを売り上げた。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』COURTESY OF NETFLIX © 2025

 参考までに、『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の同じ2日間の興行収入は2370万ドルだから、年越しの2日間は『ストレンジャー・シングス』が映画館を席巻していたのである。

 この上映企画が特殊だったのは、出演者の契約の都合上、Netflixと映画館が上映チケットを有料にできなかったこと。そこで採用されたのが「上映チケットは無料、ただし座席を予約するにはコンセッション券の購入が必要」というスタイルだった。

 たとえば、『ストレンジャー・シングス』最終話を231館で上映した北米最大の映画館チェーン・AMC Theatresでは、座席1席につき20ドルのコンセッション券を購入することが必須となった。AMCの観客動員数は75万3000人で、収入は1500万ドルにのぼるという。

 今回の記録は、2025年8月に実施された『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』を超えてNetflix作品史上最高。しかし8月当時、AMCはNetflix作品の上映を拒否していたため同作の上映に関与していなかった。その後、AMCとNetflixは協議を経て、10月末に『KPOPガールズ!』の上映を実施している。

『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』©2025 Netflix

 『ストレンジャー・シングス』最終話の上映はこうした経緯を踏まえたもので、だからこそNetflixも映画館での興行記録を更新することができたのだ。しかも本上映は興行収入ではなく映画館の売店収入によって実施されたため、各映画館が収入の95%を受け取るという。短期間で大きな収益をあげられるという点で、明らかに劇場側にメリットの大きい企画だ。

 すなわち、現在のNetflixは劇場興行の実験に取り組んでいる最中であり、映画館との良好な関係を試行錯誤しているのである。共同CEOのテッド・サランドスは、ワーナー買収発表前に劇場興行を「時代遅れ」と呼んで不興を買ったが、その後、Netflixの公式声明上ではトーンをかなり落としている。

 2025年12月中旬の声明では、「劇場配給については多くの議論がありましたが、明確にしておきたい」として、「我々はワーナー・ブラザース作品の公開を、業界標準の枠組みで劇場公開することに100%注力します。これは従来のビジネスモデルにはないものですが、ワーナー・ブラザースのノウハウがNetflixに持ち込まれることを期待しています」と綴られているのである。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』COURTESY OF NETFLIX © 2025

 少なくとも、『ストレンジャー・シングス』のフィナーレというイベント性と劇場体験の融合は優れた結果を生んだ。そしてNetflixがワーナー作品を17日間のみ公開することを求めているという情報にどこまで信憑性があるのか、これも一種の観測気球なのかはまだわからない。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる