「オリジナル」「夏クール」「映画」「アニソン」 2025年アニメを4つのトピックで振り返る

映画館で楽しむアニメのあり方の変化
2025年は、映画館という場所の使われ方も大きく進化した年でした。これまでは「完全新作」や「TVシリーズの総集編+α」という2択が主流でしたが、今年はより柔軟なアプローチが目立ちました。
まずTVシリーズの序盤を再編集し、放送に先駆けて公開した劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』。同作はこれまでの先行上映作とは比較にならないほど話題となり、興行収入は33億円超と『ガンダム』シリーズでも2位に。TVシリーズに向けてファンの期待を煽るプロモーションとして、抜群の効果を発揮しました。
対照的に、TVシリーズのその後の5話分を編集して劇場公開された『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』、通称『わたなれ』は、連日満席が続くヒット作となりました。本作については、放送終了からわずか2カ月後ほどで公開され、ファンの熱量がキープされていたのも功を奏したのでしょう。
過去の名作の「リバイバル上映」が、例年より立て続けに行われたのも今年の特徴です。このようにアニメ映画のあり方の多様化がより進んだ1年として、2025年は記憶されることになるのでは。
アニソンシーンは「踊り場」に?
最後に取り上げたいのは、アニソンシーンです。ここ数年、Adoの「新時代」やYOASOBIの「アイドル」、Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」など、アニメの枠を飛び越えて世界的なチャートを席巻するモンスターヒットが続いていました。それらに比べると、2025年は少し落ち着いた年だったと言えるかもしれません。もちろん、「えぶりでいホスト」や「愛♡スクリ~ム!」といった中毒性の高い楽曲が生まれ国内では盛り上がりを見せましたが、世界中の人々をも巻き込む巨大なうねりには至った、と言うのは難しそうです。
強いて挙げるなら、「Billboard Global 200」で日本語楽曲の歴代最高位となる5位を獲得した、米津玄師の「IRIS OUT」が今年のアニソンの筆頭格と言えるでしょうか。ただし「アイドル』などのような老若男女が知る大流行感を日本ではまだ感じられておらず(映画という閉じられた空間の作品だから?)、それでも『NHK紅白歌合戦』での初パフォーマンス後に人気が再燃する可能性もあるでしょう。ではサカナクションの「怪獣」? でもあれは2024年から『チ。 ―地球の運動について―』で流れていたしなあ……。
一方で、20周年を迎えた世界最大級のアニソンの祭典「Animelo Summer Live」は、新旧織り交ぜた「これぞ『アニサマ』」というオールスター的なラインナップが集結。3日間にわたって、さいたまスーパーアリーナでは「アニサマ」全盛期のような盛り上がりを見せて、ひとまずの総決算感がありました。上記したグローバルヒットするようなアニソンと「アニサマ」で扱われるアニソンには乖離がありますが、総合してみると、今年のアニソンシーンは色々な意味で「踊り場」にあったと言えるかもしれません。もちろん、今年のアニソンシーンにあった熱量を考えれば、これからふたたび駆け上がっていくことへの期待感は充分です。
2026年への展望を……なんて言ってる場合じゃない!
ここまで2025年に振り返りましたが、来年は『ツインズひなひま』や『小泉八雲のKWAIDANの世界』のような面白いAIをフル活用したアニメが増えるのでは……なんて悠長に展望している暇はありません。12月20日から『青のミブロ』第2期「芹沢暗殺編」の放送が始まり、『シンデレラ。シェフ ~萌妻食神~ シーズン2』も配信されて、なんとすでに2026年冬アニメはスタートしています(こうしたフライング傾向は年々強まっていましたが、まさか12月下旬に始まるとは!)。
もちろん、今年見逃した話題のアニメを観るのも必要でしょう。冬休みもアニメ三昧をしながら、また雪崩のように始まる2026年アニメへの期待に胸を膨らませながら新しい年を迎えたいと思います。
参照
※1 .https://myanimelist.net/anime/season/2025/summer
※2. https://myanimelist.net/anime/season/2025/fall























