「オリジナル」「夏クール」「映画」「アニソン」 2025年アニメを4つのトピックで振り返る

2025年アニメを4つのトピックで振り返る

 2025年のアニメシーンも間もなく閉幕しようとしています。今年は、近年のような「社会現象化する超弩級のヒット作」が市場を席巻する形から、より多角化し、ファンと作品の関係性が深まるような動きが目立ちました。今回は週に70本程度を観ているアニメ好きの筆者が、そんな2025年のアニメシーンを「4つのトピック」を軸に、この1年を振り返ってみます。

オリジナルアニメの逆襲

TVアニメ「アポカリプスホテル」ノンクレジットオープニング| aiko「skirt」

 今年心を熱くさせてくれたのが、「オリジナルアニメの活況」でした。人気マンガやラノベの映像化が主流となり、近年は「オリジナルアニメの企画が成立しづらい」という声も聞こえていたなかで、2025年はオリジナル作品が次々と話題をさらいました。

 軽く振り返ってみても『空色ユーティリティ』『もめんたりー・リリィ』『前橋ウィッチーズ』『うたごえはミルフィーユ』『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』『Turkey!』、映画に目を向けると『ヴァージン・パンク』に『ホウセンカ』……いずれも制作陣のクリエイティビティが爆発した傑作でした。その筆頭と言えそうなのがCygamesが手がけた『アポカリプスホテル』です。人類が衰退した世界のホテルで巻き起こる予測不能な悲喜こもごもを、時にゆったりと時にハードに、そしてリッチに描いて視聴者を魅了しました。

 特に同作や『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は、熱心なアニメファン以外にも注目された印象があります。こうした作品が「隠れた名作」にならなずにきちんと評価されているのは喜ばしいこと。アニメファンとしては、これからもこうした作品は見逃さないようにしたいですね……と言いたいものの、2026年冬クールは新作のオリジナルアニメがNetflix配信の『プリズム輪舞曲』くらいしかないのですが(トホホ)。

「夏アニメ」の異常な熱量と、変わる(?)クールの力学

 これまで、多くの新作アニメが始まる“メインディッシュ”と言えば、4月からの「春クール」と10月からの「秋クール」という傾向がありました。しかし近年、冬や夏も放送本数が増えてそのバランスが崩れかけているように感じていたところに、2025年は「夏アニメ」が大きく盛り上がりました。

 今夏は放送作品が80本を超え、これは間もなく終わる秋クール以上。また作品の満足度という点でも夏に軍配があがる人も多いのでは。もちろん「面白い」と感じる基準は人それぞれのため、データを見てみましょう。以下は、アニメファンが多数集まる世界最大規模のデータベース・MyAnimeListにおいて、視聴者が付けたスコアが8.0以上となった新作の数です。

夏クール:13本(※1)
秋クール:4本(※2)
※ちなみに冬は6本、春は4本。

 もちろん秋クールも『SPY×FAMILY』をメインに、『グノーシア』や『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』『矢野くんの普通の日々』などが脇を固め、『太陽よりも眩しい星』『キミと越えて恋になる』『機械じかけのマリー』といった少女/女性向けマンガ原作も充実していて……と非常に楽しいのですが。この傾向はアニメの視聴スタイルが配信中心となり、季節を問わず面白いものを観るユーザーが増えたことで、業界側も無理に特定のクールに大作をぶつける必要がなくなってきた、という変化の表れかもしれません。

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