『ぼくたちん家』未来への希望が込められた最終回 玄一と索が歩み始めた“恋と革命”の物語

そんな2人が灯した“恋と革命”の光に照らされた人物がいた。それが、前回のラストにも登場していたギター工房の主人・康夫の孫・和樹(柊木陽太)。彼は工房を見学するほたるに「周りのみんなと違うと、居心地悪いって思わない?」と問いかける。それは彼自身が徐々にゲイであることを自覚し始めていたものの、誰にも相談することができずに思い悩んでいたからだった。
和樹は「物件迷子さんインタビュー」にゲイカップルとして登場していた玄一と索のペアルック姿を見て、わざわざアパートまで2人に会いにきたうえで、自らがゲイであることをカミングアウトする。「みんなと違う自分が本当に嫌で」と涙ながらに告白する彼を心配しつつも、優しい眼差しで見守る玄一と索。「ずっと誰かに話したかったんです。だから、辛いけど嬉しいです」と“ハーフ&ハーフ”の涙を流す和樹の姿は、2人にとっても過去の自分を見ているかのような気持ちだったのかもしれない。
ほたるに証人になってもらい、“恋と革命”を実践するために彼らが区役所に提出した婚姻届は、結果として、現状の社会では受理されることはなかった。でも、“今はまだ”なだけで、未来では可能になっているかもしれない。実際、対応していた区役所の職員は「今日、おふたりがいらっしゃったことはきちんと伝えます」と玄一と索に約束する。彼らの“恋と革命”が起こした行動には、ちゃんと意味があった。ほたるがトーヨコの友達と学校で撮影したものの、卒業アルバムには載ることのなかった写真が、4人の忘れられない思い出として手元に残ったように。
ほたるからの最後の留守番メッセージは母親ではなく、玄一に宛てたものだった。遠く離れていても、本当の家族じゃなくても、今の気持ちを届けたいと思える人とほたるは出会えたのだ。
「お母さんがいなくなるまで、トーヨコとか、離婚したお父さんとか、ゲイの人たちとか、ニュースで見るような事件とか、生き物たちとか、全部私とは関係ないって思ってました。でも違うなって。この世の中に私に関係ないものなんてないのかもって。そうやって思ってたら、私も優しい人になれるかな」
成長したほたるが紡いだ言葉と、心から「ずっと一緒にいましょうね」と笑い合う玄一と索がひとつ屋根の下で一緒に暮らせることが、当たり前の世界になるように。無自覚な偏見やステレオタイプがすぐになくなることはないけれど、未来への希望が込められた物語を見届けた自分の意識から、まずは変えていきたい。
■配信情報
『ぼくたちん家』
TVer、Huluにて配信中
出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子
脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹
演出:鯨岡弘識、北川瞳
インクルーシブプロデューサー:白川大介
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美
音楽:東川亜希子、神谷洵平
主題歌:「バームクーヘン」
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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