染谷将太、『べらぼう』歌麿として生き抜いて 横浜流星と蔦重の共通点は「愛され力」

『べらぼう』染谷将太、歌麿として生き抜いて

最終回は「このお話も蔦重が作ったのではないか」という気持ちに

――歌麿としては蔦重とのシーンが最も多かったと思いますが、横浜さんとの共演は改めていかがでしたか?

染谷:すごく良い経験でした。流星くんはずっと作品全体のことを考えていて、蔦重と歌麿のシーンでも「ここでどういう表現するのが、この作品においてベストなのか」ということを常に話し合いながら収録に臨むことができましたし、蔦重を演じる流星くんのお芝居で歌麿としての気持ちが引き出されることが多く、とにかく助けられてばかりでした。

――蔦重に染谷さんが感じた魅力と、横浜さんと共演する中で蔦重と重なったところがあれば、教えてください。

染谷:蔦重は本当に人の気持ちを分かっているんだか、分かっていないんだか、どこまで天然で、どこから狙っているんだか、判別つかないですよね(笑)。でも人情に溢れていて、器が大きく、みんなから愛され、みんなを愛する力がある。自分が下町育ちなのもあるかもしれないですが、個人的にもすごく魅力的な人だなと思います。本当にあのように”メディア王”となって人々に影響を与え、世を動かしていく力があったんだろうなって。流星くんはほとんど出ずっぱりでしたし、セリフ量も多くて相当大変だったと思うんですが、ひたすら突っ走るそのエネルギーに自分はもちろん、豪華なキャストの皆さんも引っ張られているように見えました。みんなからも愛されていましたし、流星くんもみんなを愛しているんだろうなということが伝わってきて、そこはすごく蔦重と重なる部分でしたね。

――蔦重は心の機微に鈍感なところがあり、歌麿から寄せられている思いにも未だ気づいていませんが、染谷さんは演じていてヤキモキしませんでしたか?

染谷:役としてはすごく複雑で辛いですけど、個人的には気づいちゃったら蔦重らしくないなって(笑)。そこに気づかない蔦重だからこそ、魅力的といいますか。『こち亀』の両さんみたいな、鈍感だけど人情味がある感じが好きなんですよね。

――史実において、歌麿は蔦重よりも長く生きています。したがって、その死を見届けることになると思いますが、歌麿の中でひとことでは言い表せられない存在だった蔦重との最後のシーンではどのような感情になりましたか?

染谷:最終回では蔦重が脚気で倒れ、おていさんをはじめ、みんなが不安な気持ちになる中、歌麿は意外にしっかりしているところを見せます。本当はきっと一番悲しみ、泣きそうになっているけど、決して涙は見せず、悲しまずに最後まで蔦重を元気づけようとする。それが、きっと歌麿が蔦重にできる唯一の恩返しなんだろうなと思いながら演じました。個人的にもすごくグッとくるシーンだったので、ぜひ注目していただきたいです。

――最終回に向けて、視聴者の方にメッセージをお願いします。

染谷:人々の心の栄養になるようなエンタメを届けるという点において、蔦重と自分たちがリンクする場面が多々ありました。だから、個人的にはメタファー的な気持ちになるといいますか。このお話も蔦重が作ったんじゃないかと思ってしまうほどの“たわけ感”を最後まで味わえると思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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