綾瀬はるかが石井裕也監督と初タッグ 『人はなぜラブレターを書くのか』2026年4月公開へ

石井裕也監督最新作『人はなぜラブレターを書くのか』が、2026年4月17日より公開されることが決定した。
本作は、2000年に起きた地下鉄脱線事故を題材にした物語。同年3月8日午前9時1分頃、帝都高速度交通営団(現:東京メトロ)日比谷線において、恵比寿駅から中目黒駅に入線しようとしていた列車がカーブで脱線し、対向列車と衝突。死者5名、負傷者64名(2000年10月26日付の事故調査検討会報告書では63名)を出した。その後、東京メトロは、平成28年4月、実車を走行する実地訓練が可能な「総合研修訓練センター」を江東区新木場に開所するなど安全意識の徹底に努めている。
この事故で、進学校に通いながら、日々ボクシングの練習に夢中になっていた少年・富久信介さんが亡くなった。彼と毎朝同じ時間、同じ車両に乗り、想いを寄せていた少女。まだ今ほどSNSが発達していない時代で、通学電車の中だけで会える、話したことも名前も知らない彼に少女は淡い恋心を募らせていた。そんないつもの朝に起こった地下鉄脱線事故。たまたまいつもと違う時間の電車に乗り合わせてしまった信介さんは、この事故に巻き込まれ、当時17歳という若さで生涯の幕を閉じた。ニュースで流れた彼の訃報を知った彼女は、初めて彼の名前を知り、“間違いであってほしい”という思いでその後も電車で彼を探す日々を過ごす。
20年後の2020年、信介さんが通っていた大橋ボクシングジムの大橋秀行会長の元へメッセージが届く。当時彼に想いを寄せていたあの少女から、彼への想いや通学時の思い出が綴られていた。この出来事は『スポーツ報知』でも報じられ、『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)でも“奇跡の物語”として再現映像が放送された。
この実話から着想を得て本作の監督・脚本・編集を務めたのは石井裕也。石井は『スポーツ報知』に書かれていた「富久信介さん宛てに数十年ぶりに届いたある女性からの手紙」の記事(※)を目にし、その動機に強く興味を持ち、本作のプロットを書き上げた。石井は「素晴らしいキャスト、信頼するスタッフたちとともにこの作品を作りました。みんなの思いや力が奇跡的に混ざり合って、結果的に凄い映画が完成しました」と語っている。
主人公・寺田ナズナを演じるのは綾瀬はるか。石井監督とは初のタッグとなる。
24年前の学生時代のナズナを演じるのは當真あみ。石井監督作品への出演は初となる。
信介さん役を演じるのは細田佳央太。進学校に通いながらもボクシングに打ち込んだ信介さんを演じるにあたり、ボクシングジムに通い、トレーナーとともに数カ月、体づくりを行い撮影に挑んだという。
信介さんが通うボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じるのは菅田将暉。実在する元WBC世界スーパーフライ級王者である川嶋を演じるため菅田もボクシングジムに通い、2017年の『あゝ、荒野』以来7年ぶりにボクサーを演じる。
ナズナの夫役を演じるのは妻夫木聡。綾瀬とは2008年の『ザ・マジックアワー』ぶりの共演となる。
信介さんの父・富久隆治役を佐藤浩市が演じる。
公開されたポスタービジュアルには、過去に思いを馳せるような現在のナズナが中心に描かれている。
予告映像では現在のナズナが、手紙を渡せなかった24年前の自分を思い出し、初恋の彼への想いや思い出を手紙に綴る場面が描かれている。
あわせて各登場人物の表情を捉えた場面写真も公開された。
コメント
綾瀬はるか(寺田ナズナ役(現代))
脚本を読んだときに涙が止まらなくて、心が揺さぶられました。 生きたい、もっと見てたい、家族を愛して、家族に愛されて、生きてきた証のような思いの中で、初恋の人に24年越しのラブレターを書いたのかもしれません。 ナズナのラブレターに秘められた物語をぜひ観ていただきたいです。
當真あみ(小野ナズナ役(学生時代))
脚本を読んで、初めてこの出来事が実際にあったことなのだと知りました。 友人と過ごしたり、何かに熱中したり、恋をしたりと当たり前に思っていた日常を、しっかりと見つめて大切にしたいと感じました。 綾瀬さんが演じるナズナと、どう繋げられたらいいかを監督と話しながら、ナズナが経験し積み重ねた感情を作っていけるように演じました。 この作品を沢山の方に見ていただきたいです。映画を見たとき、きっと自分の日常が愛おしく大切に思えるはずです。
細田佳央太(富久信介役)
石井監督ともう一度ご一緒することを目標にしていたので、自ずと気合いが入りました。ボクシング練習には約4カ月という準備期間をいただいて、ボクシング未経験の僕に松浦さん(ボクシング指導者)をはじめとした多くの方々が指導してくださり向き合っていただきました。素敵過ぎるスタッフ・キャストの皆様に囲まれた撮影の日々は、映画と芝居にもう一段と深くのめり込むきっかけとなり、撮影の内外問わず役と同様に温かい距離を保ち続けてくださった菅田さんには感謝してもしきれません。 この作品が持つ記憶と、そこに生きた人々の熱が、現代に生きる皆様と未来に届くことを願ってやみません。
菅田将暉(川嶋勝重役)
第17代WBC世界スーパーフライ級チャンピオン川嶋勝重選手。を演じる? 即お断りしようと思いました。が、台本を読むと、早すぎる命と対話する真摯な青年の姿がありました。 夢について語り合い、想いを背負って闘う。今日のために生きる。今の自分に必要な作品だったのか、使命感のようなものが湧いてきて、初の石井組に挑みました。ハードな撮影でしたが、一生に一度の経験をさせてもらいました。 思いやりと少しシャイなところがこの映画の好きなところです。ぜひ、観に来てください。
妻夫木聡(寺田良一役)
様々なテーマで挑戦し続ける石井監督の作品に呼んでもらえることはとても光栄なことです。そして、自分にとっても新しい一面を見せられるようにと身が引き締まる思いでしたが、少しずつほどけていく家族の形を、一日一日確かめながら撮影する日々は、どうしようなく不器用で、素直になれないけど、それがとても愛おしい時間でした。 過去を生きる人、今を生きる人、みんなの想いが溢れている。悲しみさえも糧にして、前を向き、それぞれが夢に向かって踏み出していく様に涙が止まりませんでした。 一つのラブレターによって、止まっていた時間が動きだしていく。悲しいことも、嬉しいことも、みんな手を繋いで生きていければ良いよねって思わせてくれる、そんな素敵な映画です。ぜひ劇場でご覧ください。
佐藤浩市(富久隆治役)
突然の別れと、覚悟を持って向き合う別れ。 どちらにしても後悔なく大切な人を見送ることの出来る方はごくわずか……。 しかしその想いが、より深く故人との歴史を刻んでくれると信じたい。
北島直明(プロデューサー)
石井監督に教えてもらった、『スポーツ報知』に掲載された『富久信介さんへのラブレター』の記事を読んだとき、胸が熱くなり、すぐに大橋会長に会いに行きました。そして、信介さんのお父さんを、手紙を書かれた女性の方をご紹介していただきました。川嶋選手、徳山選手、東京メトロの職員の方々にもお会いしました。 信介さんのお父さんとの会話がこの映画の根幹にあります。信介さんは、少しヤンチャな、正義感の強い、“どこにでもいる”高校生でした。彼が特別だから映画にしたわけではないんです。 信介さんのことを嬉しそうに教えてくれるお父さんの顔がこの映画を作る動機になったんです。 この映画では「人の存在の大切さ」を描いています。語彙力が無い表現ですが……そういうことなんです。 僕は、お父さんを介して信介さんの存在を感じたのです。 毎朝、通学・通勤している中で、僕も含めて皆さんの隣にいる人には、その人の人生があり、大切な誰かがいるはずです。この映画の主人公・ナズナは、“誰にでも当てはまる誰か”という存在として描きました。 なぜ、そうしたのか? 突然の別れ、意図せぬ別れは、無念と後悔と悲しみを生みます。残念ながら、望んでいなくても“誰にでも起こりえること”です。でも、悲しいだけじゃない、未来を生きるために、今どうすべきか、という前向きな映画にするためです。 多くの方のご協力を得て、この映画は完成しました。ありがとうございました。この映画が、悲しみを少しでも減らして、希望に繋がる一助になれば幸いです。
参照
※ https://hochi.news/articles/20200509-OHT1T50147.html?page=1
■公開情報
『人はなぜラブレターを書くのか』
2026年4月17日(金)公開
監督・脚本・編集:石井裕也
キャスト:綾瀬はるか、當真あみ、細田佳央太、妻夫木聡、音尾琢真、富田望生、西川愛莉、菅田将暉、笠原秀幸、津田寛治、原日出子、佐藤浩市
撮影時期:2024年11月~12月 関東近郊にて撮影
公開、製作幹事:日本テレビ放送網
制作プロダクション:フィルムメイカーズ
配給:東宝
©2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会
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