『ペリリュー』チャリティ上映会に板垣李光人ら登壇 愛子さまと“同級生トーク”も

『ペリリュー』チャリティ上映会開催

 12月5日に公開される映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』のチャリティ上映会がイイノホールにて11月27日に開催され、主演の板垣李光人(田丸均役)、共演の中村倫也(吉敷佳助役)、監督の久慈悟郎、原作・共同脚本の武田一義、そして上野賢一郎厚生労働大臣、ピーター・アデルバイ駐日パラオ共和国大使が登壇した。

 終戦80年の節目である2025年に公開される本作は、太平洋戦争中、すでに日本の戦局が悪化していた昭和19年9月15日からはじまった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し、最後まで生き残った34人の兵士たちを描いたアニメーション映画。『ヤングアニマル』(白泉社)で連載され、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武田による同名漫画が原作となる。心優しい漫画家志望の主人公・田丸均役で板垣が主演を務め、田丸の頼れる相棒・吉敷佳助を中村が演じる。また、主題歌「奇跡のようなこと」は、女優だけでなく歌手としても活躍する上白石萌音が担当する。

 チャリティ上映会の舞台挨拶前には、主演の板垣が本作品のアフレコ収録前の2025年4月にペリリュー島を訪れた際の特別映像を上映。あわせて、この日の上映会の売上の一部が、戦没者遺骨収集推進事業への支援と現在でも続く国内外の紛争や災害への人道支援を目的として、一般社団法人 日本戦没者遺骨収集推進協会、日本赤十字社に寄付されることも発表された。また当日は、愛子内親王殿下がご臨席。会場となったイイノホール到着時には、主演の板垣、共演の中村をはじめ、原作者でもある武田、久慈監督、吉村文雄(東映社長)、西新(テレビ朝日社長)、アデルバイ駐日パラオ共和国大使がお出迎えした。

 愛子内親王殿下の御着席後、舞台挨拶がスタート。上映会が行われた2025年11月27日は、81年前にペリリュー島での戦いにおいてアメリカ軍が「作戦終了」を宣言した終戦の日でもある。しかし、その後も終戦を信じることができずに潜伏を続けた兵士たちの姿も、本作では克明に描かれている。原作者の武田が本作を描くきっかけの一つとなったのは、終戦70年となる2015年に、当時の天皇・皇后両陛下(現・上皇・上皇后両陛下)がペリリュー島を慰霊訪問されたという報道だった。「皇室の方々が慰霊に行かれる場所であるにもかかわらず、自分はそのことを全く知らなかった」という驚きが、創作の原点となっている。

 板垣と愛子内親王殿下は同い年であり、戦後80年となった今、戦争の記憶を次世代へ繋いでいく若者として、この場を共有することとなった。

 ペリリュー島で戦った兵士の大半は、当時の板垣と同様に20代前半の若者だった。アフレコ前に作品と向き合うため現地へ赴いた主人公・田丸均役の板垣は、改めてペリリュー島に立った心境を問われると、「戦争は教科書の中で知るもの・見るものという認識でしたが、実際の地を訪問して島の土を踏む事で景色を見る事で、戦争が他人事・教科書の中のものではなく実際にあった歴史上の事なんだと実感が湧いてきました。その実感はアフレコする上でも助けになりました」と回答し、当時を生きた兵士への想いを馳せた。

 史実に基づいた戦争アニメーションのアフレコについて聞かれた吉敷佳助役の中村は「まず身が引き締まる思いで、そして意義を感じ、誠実に臨みたいと思いました。芝居としては極力真っすぐに言葉を吐こうという事を意識しました。作る側もしっかりと重く受け止めて作るわけですが、ただそれを重みに感じずに届けたいという気持ちでした」と述べ、戦争を語り継ぐことの大切さを訴えた。

 ペリリュー島で戦った日本兵は終戦の事実を知らず、また受け入れることができず、2年以上もペリリュー島に潜伏していたという衝撃的史実に、板垣は「当時のことを考えると胸が痛いです」と沈痛な表情を浮かべながら「実際ペリリュー島を訪問すると、当時のガラス瓶の破片など日本兵たちの生活の跡がたくさん残っていて、それを目の当たりにすると知らなかった事実を感じられたし、本作に臨むうえでそこに対する敬意と思いを大事にして伝えていかなければという気持ちを新たにしました。このような貴重な場を頂きましたので、知らない方たちへ届ける橋渡しができたらと思います」と言葉を選びながら語った。

 イベント後半には、上野厚生労働大臣とアデルバイ駐日パラオ共和国大使も登壇。上野大臣は戦没者の遺骨収集活動について紹介し、アデルバイ駐日パラオ大使は本作の漫画化&映画化に感謝し「ペリリュー島で何が起きたのか、アニメーションという物語を通して知ることができる」などと本作が世界に知られるべき傑作だと述べた。

 最後に板垣は「この作品はかわいらしい絵柄とは裏腹に、戦争の生々しさや凄惨な部分をしっかりと描いているので目をそむけたくなる部分や怖いと感じる部分が出てくると思うけれど、皆さんにはその時に感じた気持ちを大切にしていただきたいです。その気持ちや本作を通して知ったことを他の方に伝えていく、“知る”という連鎖を生むきっかけになったら嬉しいです」と呼び掛けた。

 その後、板垣と武田が囲み取材に参加。愛子さまとの対面の感想について板垣は「席に着いた際に愛子さまの方から『同い年ですよね?』と声をかけていただき、上映後も『同世代として刺激を受けました』と言っていただけました。恐縮ながらもまさか愛子さまと同級生トークができるとは思ってもいなかったので、非常に光栄でした」と感激。映画の感想も伝えられたそうで「この映画がたくさんの方に広がって、戦争の歴史もたくさんの方に広がるように心から願っています」と激励されたという。

 2015年に上皇、上皇后両陛下がペリリュー島を訪れて慰霊された事が原作執筆のきっかけになったという武田。「上皇上皇后両陛下が慰霊に行かれたからこそ、この作品が生まれた事に関して愛子さまも感慨深いものがあるように伺いました。戦後80年で孫の愛子さまが本作を観たというのは、愛子様ご自身も感じるところがあったようで、そのことについてもお話をさせていただきました。そして心に残った作品、この物語は残していくべきだとの感想をいただきました」と報告すると、板垣も「愛子さまは『運命的』というお言葉でおっしゃっていましたね」と愛子さまの言葉を伝えた。

 愛子さまとの交流に当初は緊張したという板垣だが「本作に関してかしこまってお話をするのかなと思っていましたが、愛子さまもすごくフランクにお優しくてお話をしてくださったので全体的に和やかな空気でした」とその人柄に触れると、武田は「板垣さんが過去に出ていたドラマですとか、今出ているドラマをご家族で観ているという話をしていただきました」と明かし、板垣は「……まさかでした」と驚いていた。また愛子さまの横で本編を鑑賞した板垣は、愛子様の上映中の様子について「真剣に映画と向き合ってくださっている気配が伝わって来ました」と回想し「我々が戦争に関わる機会が年々減っていく中で、映画として、一つのエンターテインメントとして戦争を伝える意義を愛子様にも感じていただけたと思うと、本作に携わって良かったなと心から思います」と振り返った。

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■公開情報
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
12月5日(金)全国公開
キャスト:板垣李光人、中村倫也、天野宏郷、藤井雄太、茂木たかまさ、三上瑛士
原作:武田一義『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(白泉社・ヤングアニマルコミックス)監督:久慈悟郎
脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治
プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝
メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳、猿谷勝己(スタジオMAO)
コンセプトボード:益城貴昌、竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子、加藤浩、坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀、長谷川一美(スタジオ・トイズ)
撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA)、髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ)
編集:小島俊彦(岡安プロモーション)
考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子
音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
主題歌:上白石萌音「奇跡のようなこと」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
制作:シンエイ動画 × 冨嶽
配給:東映
©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー楽園のゲルニカー」製作委員会
公式サイト:https://peleliu-movie.jp/
公式X(旧Twitter):@peleliu_movie
公式Instagram:peleliu_movie
公式TikTok:@peleliu_movie

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