『ばけばけ』ウグイス/メジロ論争に決着? 100年たっても変わらない国のあり方に絶句

『ばけばけ』ウグイス/メジロ論争に決着?

 『ばけばけ』(NHK総合)第42話では、江藤知事(佐野史郎)の娘リヨ(北香那)がヘブン(トミー・バストウ)に料理をふるまった。

 リヨがヘブンに贈ったウグイス。美しいさえずりを期待したが、いつまでもたっても鳴く気配がない。鳴くまで待っているうちに、花田(生瀬勝久)とツル(池谷のぶえ)が口論を始めてしまう。そこに記者の梶谷(岩崎う大)がやってきて、これはメジロだと判定するが、誰も梶谷の言うことを信じなかった。

 まず、ウグイスとは何か。鳥取出身の総理ならそう言い出しそうなシチュエーションで、鳴き声を耳にすることはかなわなかった。腰かけを意味する「チェア」と名付けられた鳥は、お近づきのしるしにリヨがプレゼントしたもの。第42話で、さえずる愛娘の将来を案じたのは島根県知事だった。

 場面は変わって江藤家の食卓。女学校を出たリヨは自ら腕をふるい、ヘブンをワインと洋食でもてなす。リヨは英語で意思疎通し、ヘブンの気難しさも発動しない。ヘブンがこんなに楽しそうなのは、日本に来てから初めてではないだろうか。

 リヨがヘブンを歓待したのは、島根や松江のためではなかった。ヘブンを「お慕い申し上げて」いるリヨは、なんとかしてヘブンに気に入られたい。積極的にアプローチするのは、この時代珍しいはず。しかし、相手は外国人。両親は理由を挙げて反対する。

 雇われ外国人は任期が終われば国に帰る。ヘブンはただの英語教師だ。結婚するとしても、法律上手続が面倒である。日本国籍を失うことになるし、うまくいく保証はない。妻子を置いて帰国する者もいるし、子どもを連れて行ってしまうかもしれない。

 これらすべて明治時代のことを言っているようだが、そのまま現代にもあてはまる。外国人を“お客様”として扱うけれど、二重国籍は認めない。子の連れ去りは国際問題になっている。100年以上を経ても変わらない国のあり方を目にして、複雑な心境になった。

 江藤は一計を案じる。錦織(吉沢亮)を通して、トキ(髙石あかり)に相談を持ちかけるのだが、内容が明かされるのは次回以降だ。……まさか色じかけ? トキはリヨに協力すると言っていたのでそれはないとしても、悩ましい状況には置かれそうだ。

 なお「ホーホケキョ」というウグイスの鳴き声は、春から夏の繁殖期における求愛行動である。リヨが持参したのがメジロだったことは、何を暗示しているだろうか。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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