『ばけばけ』北香那が朝から放つ“毒”が面白い! 「私のライバルなのかしら?」の攻撃力

『ばけばけ』北香那が朝から放つ“毒”

 ヘブン(トミー・バストウ)に関するネタを仕入れにきた梶谷(岩崎う大)に、トキ(髙石あかり)は先のクイズ大会で知った情報を教える。しかし、どれもネタとしては弱く却下されてしまった。

「もっと派手で県民が飛びつくようなやつが欲しい。色恋沙汰とか」

 「何かあったら連絡しますけん」と適当に返事をしたトキだが、さっそくその“何か”が起きてしまった。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第9週初日の第41話では、トキに思わぬ”ライバル”が現れる。

 知事の江藤(佐野史郎)に招かれ、旧松江藩主・松平家の菩提寺である月照寺を訪れたヘブン。そこで出会ったのが、江藤の娘・リヨ(北香那)だ。華やかな柄の着物を纏い、上品に髪を結い上げたリヨは見るからにお嬢様といった出で立ち。ヘブンも思わずその姿に見惚れ、すっと手を差し出してエスコートする。2人が並ぶとロイヤル感があり、正直言ってかなりお似合いだ。

 加えて、リヨは東京の女学校を出ており、英語も堪能。演じる北は公式ドラマガイドブック『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 ばけばけ Part1』で「英語のセリフでお芝居をすることは、私にとって初めての経験です」と明かしているが、その美しい発音に聞き惚れた人も多いのではないか。ヘブンも錦織(吉沢亮)以外でストレスなくコミュニケーションを取れる人と出会えた上に、リヨからかつて人を襲い、住職に封印されたという伝説の大亀の石像を教えてもらってご満悦の様子だった。

 まさに才色兼備のリヨだが、少し浮世離れしたところもある。後日、「ヘブン先生に日本らしいものを」とウグイスを届けにきたリヨ。あいにくヘブンは不在で、対応に当たったトキが「失礼ですが……」と名前を尋ねたところ、彼女は「ウグイスです」と返答する。トキから「そうではなく」と再度、名前を尋ねられるとリヨは「てっきり名乗ったものだと……アンビリーバボーよね」と大笑い。さらに、ウグイスを前にして「私は鳥で言ったら、パーティでいただく七面鳥が好物ですわ!」と“サイコパスみ”を出すなど、なかなかに癖が強いお嬢様である。

 北といえば、“怪演“というワードとともに語られることが多く、『魔法のリノベ』(カンテレ・フジテレビ系)や『魔物 (마물)』(テレビ朝日系)でも強烈な女性を見事に演じていた。リヨも一見朗らかで親しみやすくはあるが、北は言動に節々にほんのりと毒を仕込んでいる。しかし、その毒がことごとくトキには効かないのが面白い。初対面からヘブンに好意を持ったリヨは女中であるトキの存在が気になったのだろう。今回の訪問も、おそらくは敵情視察が本当の目的。ウグイスは「私はヘブン先生のことを理解しています」というアピールではないか。

 そんな特大のマウントも素直に受け取るトキに業を煮やし、リヨは「ところで……あなたって私のライバルなのかしら?」と直球質問を投げた。だが、英語がわからないトキはライバルという音の響きが自分に似つかわしくないとの理由で否定する。するとすかさず、「ならば、協力してくださらない?」とトキにヘブンとの仲を取り持ってもらおうとするリヨ。強引な性格は、父親譲りだろう。トキはリヨの押しの強さに負けてOKしてしまった。

 一方で、トキとヘブンの間には恋愛感情こそまだないものの、心の距離は確実に近づきつつある。ジェスチャーや絵を通して自分の言いたいことを伝え、かつ相手の要望を知ろうとする2人。相手の言語や文化を理解するのはもちろん大事だが、それ以上に大切なのは伝えたい、知りたいという気持ち自体なのかもしれない。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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