『ちょっとだけエスパー』も話題 『おおかみこどもの雨と雪』で知る宮﨑あおいの“声”の魅力

宮﨑あおいの“声”の魅力

 宮﨑あおいがお茶の間にいることが、いったいどれだけ素晴らしいことなのか。いま私たちの誰もが、そうしみじみと感じているのではないだろうか。放送中の『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)にて民放の連続ドラマに13年ぶりに登場し、多くの視聴者を魅了しているところ。さらに、彼女が主演声優を務めた映画『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)が『金曜ロードショー』(日本テレビ系)の枠で放送される。宮﨑とはわれわれにとって、どのような存在なのだろうか。

『ちょっとだけエスパー』©︎テレビ朝日

 ドラマ『ちょっとだけエスパー』は、『アンナチュラル』(2018年/TBS系)や『MIU404』(2020年/TBS系)などの脚本を手がけてきた野木亜紀子の最新作。“ちょっとだけエスパー”になった人生ドン詰まりのサラリーマン・文太(大泉洋)が、同じようなユニークな仲間たちとともに世界を救うという、非常にユーモラスな作品だ。宮﨑が演じるのは、文太と暮らすことになる謎の女性・四季。クリーニング店に勤めている彼女は、記憶喪失なのか、文太のことを本当の夫だと思い込んでいるらしい。ヒロインにあたるポジションである。

 本作は“SFラブロマンス”をジャンルとして掲げていて、文太にはあまりにも不条理なルールが課されている。それは、“人を愛してはならない”というもの。文太と四季は本当の夫婦ではないわけだが、やがてこの関係性に焦点が当たることになるのだろう。実際にいま文太は、四季に翻弄されっぱなし。彼女は彼を本当の夫だと思い込んでいるのだから、素直に愛情をぶつけてくる。この愛情を表現する宮﨑が素晴らしい。

『ちょっとだけエスパー』©︎テレビ朝日

 それは重い愛などとはほど遠く、とても軽やかで柔らかなもの。宮﨑の声そのものの質感には甘味があるが、発する調子はカラッとしていて涼しげだ。彼女のその優しい声と眼差しが、この社会において居場所を失っていた文太の存在を肯定している。そしてときおり見せる笑顔がチャーミング。主演の大泉の狼狽える演技も相まって、それはより多くの視聴者の心をも揺さぶっているようである。

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