深夜ドラマの常識を塗り替える地獄絵図 『そこから先は地獄』は“ドロドロ作品”の決定版に

『そこから先は地獄』は深夜ドラマの決定版に

 深夜ドラマの常識を塗り替えるほどの「地獄絵図」が幕を開けた。10月7日から放送がスタートした井桁弘恵主演の『そこから先は地獄』(日本テレビ系)は、大人の女性をターゲットに、深夜だからこそ描けるディープな人間模様をテーマにした「ドラマDEEP」枠の第6弾で、不倫なんてするはずがないと思っていた主人公が、妻からの暴力に苦しむ美しい男性と出会うことで地獄のような不倫関係へと堕ちていくサスペンスだ。

 イントロとなる配信限定スピンオフでは、莉沙(井桁弘恵)と高久(落合モトキ)が本格的に妊活に取り組むところからスタート。しかし、夫の精液の検査データを見ながら食事を管理しようとする妻や、排卵日の営みを「仲良し日」と呼び、細かいルールを設けたことで、高久の“義務感”はやがてストレスとなり、小さな緊張を生む。それが夫婦関係の微妙なズレとなり、その息抜きとして高久は“既婚者マッチングアプリ”に手を出してしまう。

 そして第1話では、莉沙が妊活のために訪れたパーソナルジムで、美しい男・城内涼(豊田裕大)と出会う。夫との関係に悩む莉沙は、涼との触れ合いにひと時の安らぎと癒しを感じる。しかし、涼はDV妻・凪子(山崎紘菜)の暴力を受けていた。刃物で手の甲をえぐられる凄惨なシーンも深夜ドラマならではのエグさだ。

 第2話以降、「彼を救いたい」という莉沙の気持ちがいつしか愛情へと変わり、2人は禁断の恋へと落ちていく。凪子との対立も激化していくことが予告され、高久の不倫の発覚により夫婦関係の破綻も秒読み。

 加えて、托卵を企む奏子(奈月セナ)、その彼女をトロフィーワイフと見下すモラハラ美容外科医・将也(小久保寿人)など、多彩で危険なキャラクターも絡み、全員の欲望や復讐心が複雑に交錯することで、視聴者の心拍数はさらに上昇させられそうだ。

 そんな本作の過激さは、過去の同枠ドラマと比較しても際立つ。『肝臓を奪われた妻』では復讐劇が描かれるものの一人称視点で展開され、複数の不倫関係が絡む群像劇にはならない。『どうか私より不幸でいて下さい』は姉妹間の心理戦が中心で、複雑な不倫やモラハラの絡みは少なかった。『3年C組は不倫してます。』『いきなり婚』『完全不倫― 隠す美学、暴く覚悟 ―』でも複数カップルは描かれるが、本作のように全員が“胸糞設定”で誰も救われないという構図までは見られない。

吉井和哉 - 甘い吐息を震わせて (Official Lyric Video)

 こうした過去作では、登場人物の反省や関係修復などで視聴者が「立ち直る余地」を感じられたものだったが、本作はそれを徹底的に排除し、ラストで流れる吉井和哉の主題歌「甘い吐息を震わせて」が登場人物たちの破滅的状況を際立たせる。

 既婚者マッチングアプリ、DV妻、モラハラ美容外科医 、托卵トロフィーワイフ……『そこから先は地獄』は、さながら「不倫版アベンジャーズ」。最上級のドロドロが、深夜ドラマで定番化した過激路線の最高地点となるのだろうか。

『そこから先は地獄』の画像

ドラマDEEP『そこから先は地獄』

モラハラ、不妊、妻からのDVといった現代的な家庭問題を題材に、愛と欲望、共依存と裏切りが絡み合い、地獄のような関係性へと堕ちていく模様を描く。

■放送情報
ドラマDEEP『そこから先は地獄』
日本テレビ系にて、毎週火曜24:24~24:54放送
TVer、Huluにて毎話放送後配信開始
出演:井桁弘恵、豊田裕大、落合モトキ、奈月セナ、小西桜子、小久保寿人、和田聰宏、山崎紘菜
脚本:早船歌江子、神谷克麻
演出:菅原伸太郎、長尾くみこ、保母海里風、仙田晋之
制作:関根龍太郎
プロデュース:小林拓弘
プロデューサー:菅原伸太郎、伊藤裕史
協力プロデューサー:石井満梨奈
音楽:佐藤航
主題歌:吉井和哉「甘い吐息を震わせて」(A-Sketch)
制作プロダクション:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/deep-jigoku/
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