『暴君のシェフ』で世界中から熱視線 ユナ、少女時代のまぶしさそのままにトップ女優へ

イム・ユナ主演のドラマ『暴君のシェフ』がクライマックスを迎えた。コチュジャンバタービビンバ、オート・キュイジーヌ、黒ごまマカロン、圧力鍋の烏骨鶏参鶏湯などの豊富なメニューが登場し、王のみならず視聴者側だって、つばをゴクリと飲み込むシーンは多い。観ているととにかくお腹が空くのだ。タイムスリップファンタジーであり、王宮ロマンスであり、料理ドラマでもある本作は、ユナが主演を務めた『キング・ザ・ランド』に続いてNetflixグローバルTOP10のテレビ部門(非英語)でまたもや1位を獲得。2作続いてのグローバルヒットを成功させたユナの勢いはまだ止まりそうもない。

本作のストーリーはこうだ。現代を生きるフランス料理のシェフ、ヨン・ジヨン(イム・ユナ)は、賞金10万ユーロと三つ星レストランでヘッドシェフになれる機会が与えられる「フランス料理対決ショー」に韓国代表として出演し、優勝する。浮かれ気分のジヨンは、韓国にいる父親と優勝の喜びを電話で分かち合うのだが、すぐに帰国すると言う娘に父親は「休んでから戻ればいいのに。今日は皆既日食だぞ」と諭す。
しかし、370年ぶりの皆既日食のその日、ジヨンは韓国へと帰るのだった。飛行機の中で、父親に頼まれた朝鮮時代の史料「望雲録(マンウンロク)」がハプニングで汚れてしまう。急いでトイレに駆け込み汚れを落としながら「望雲録」を開くジヨンは、“恋慕するそなたが私の元へ戻ってくることを願う”と書かれた文を読み、突如異変が起きて、500年前の朝鮮王朝時代にタイムスリップする。
天才シェフといわれる腕のあるジヨンは、料理だけではなく、さまざまなピンチが訪れても、臨機応変に切り抜けていく頭の回転の速さと、度胸があるキャラクターだ。無理難題を押し付けてくる若き王イ・ホン(イ・チェミン)や、王宮の権力争いに巻き込まれながらも、おいしい料理でトラブルを切り抜けていく快活なジヨンを、ユナがいきいきと演じている。

美食家でもある王を演じるイ・チェミンは、当初キャスティングされていたパク・ソンフンの代役ながら大抜擢。実年齢で10歳差のあるユナとイ・チェミンだが、サバイバルするジヨンに胃袋とハートを鷲掴みにされた王として、イ・チェミンのイケメンぶりとやんちゃっぷりが炸裂。まるで最初から彼がキャスティングされていたかのように、実に本作にマッチしていると感じた。
ここで、女優としてさらに輝きを放っているユナについて、振り返ってみたい。1990年5月30日、ソウル特別市生まれの現在35歳。小学校6年生でSMエンタテインメントの練習生となり、約5年間の下積みを重ねる。練習生時代から東方神起など先輩歌手のミュージックビデオに出演していたが、2007年7月にドラマ『9回裏2アウト』で女優デビュー、翌月には少女時代のメンバーとして歌手デビューを果たした。
2008年には、初主演を務めたドラマ『君は僕の運命』が大ヒット。まだあどけなさの残るユナは、孤児院で育つ視力のない少女チャン・セビョク役に。角膜手術を受け、角膜提供をしてくれた女性の家族と縁ができ、やがて恋も覚えて成長していくハートフルストーリーだ。本作でユナはKBS演技大賞の最優秀新人女優賞を受賞。2012年には、『冬のソナタ』のユン・ソクホ監督の『ラブレイン』に、チャン・グンソクとダブル主演。70年代と現代のふたつの時代を生きる1人2役を演じ、しっとりと恋を紡いでいった。ちなみに、この作品で俳優デビューとなったソ・イングクが友人役として出演している。

その後も少女時代の活動と並行して定期的に映像作品に出演し、2015年には初の中国ドラマ出演となった歴史大作『三国志~趙雲伝~』で、主人公の趙雲(ちょううん)を演じる中国俳優ケニー・リンと恋に落ちるヒロインの夏侯軽衣(かこうけいい)役に挑戦。意思が強く判断力に優れた愛らしい夏侯軽衣を演じ、豪華絢爛な衣装やセットに負けない存在感を発揮していた。





















