『バーフバリ』『RRR』を観ない人生は損! BS12での無料放送で映画のマジックの世界へ

『バーフバリ』『RRR』を観ない人生は損!

 あの伝説がテレビにやってくる!

 2025年10月8日から、BS12でインド映画特集の放送が決定した。そして栄えある放送作品は、S・S・ラージャマウリ監督が手がけ、全世界で記録的な大ヒット、ここ日本も熱狂させた伝説の3本、『バーフバリ 伝説誕生<完全版>』(2015年)、『バーフバリ2 王の凱旋<完全版>』(2017年)、そして『RRR』(2022年)である! これはまさに盆と正月と飲み代を自分以外の誰かが全額出してくれる打ち上げが同時に来るようなもの。テンションを上げるなと言うほうが、無理があろうかと思います。そんなわけで今回はこの3本の特殊すぎる映画の魅力について語っていきたい。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 まずこの3作に共通することだが、とにかくスケールがデカい。発想のスケールがデカすぎるのだ。もう私も40なので喩えが古くなって恐縮だが、『ジョジョの奇妙な冒険』の2部で、主人公と敵が「柱に引っかけられた2種類の武器のうち、どっちを選ぶか?」という問題に直面するシーンがある。そこで主人公は大きく強い武器を選ぶが、敵は柱そのものを引っこ抜いて武器にしてくるのだ。そして主人公は呆然としながら「発想のスケールで負けた」と呟くのだった。……簡単に言うと、この3作はこういう発想のスケールで圧倒してくる場面が多々あり、度肝を抜かれっぱなしになるのだ。まぎれもなくスペクタクルであり、パワーとんち映画だと言っていいだろう。

『バーフバリ 伝説誕生<完全版>』©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

 たとえば『バーフバリ』は古代インドを舞台に、とある青年(プラバース)が自身に隠された壮大な過去を知り、運命の戦いへ身を投じる物語なのだが……いきなり青年の圧倒的な凄みを見せるシーンがある。青年の母は諸事情から“願掛け”をやっていた。それは村にあるご神体に滝の水を1000回かけるというものだ。それを知った青年は、岩で出来た巨大なご神体をブッこ抜いて肩に担ぐと、そのまま滝つぼまで持っていく。当然ご神体は滝に打たれまくりで、青年は「このほうが早い」と爽やかに笑うのだった。この時点でとんでもない大物の予感がするが、このシーンはあくまで掴み、けん制のジャブにすぎない。この後もこういった度肝を抜くシーンが連発する。「うおっ」と思っているうちに映画が進んでいく感覚は唯一無二、これだけでも体験してほしい。

『バーフバリ2 王の凱旋<完全版>』© ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

 しかし一方で……ここまで読んでこう危惧する人もいるだろう。「それってつまり、ハッタリだけの映画なんじゃないの?」「突飛なシーンばっかりで気持ちが覚めちゃうんじゃないの?」……その気持ちは痛いほど分かる。何事も凄いシーンを繋げればOKではない。かつて私も漫画原作のお話を貰ったとき、喜び勇んで派手なシーンを連発させたところ、本筋が曖昧になってしまい、編集会議を通らずにフェードアウトした哀しい過去がある。身をもって知っているつもりだ。しかし、『バーフバリ』と『RRR』は、その点においても心配無用。確かに映画の中では現実に不可能なことが起き続けるが、しかしそこに生きる人間たちのドラマには、不思議なほどリアリティがある。これはS・S・ラージャマウリ監督の手腕によるものだろう。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 3作は、それも奇妙奇天烈なアイデアに満ちているが、同時に登場人物の心理描写は実直であり、ある意味で等身大だ。劇中のキャラクターたちは、たとえば国家レベルのことや、数十年の長きに渡る因縁と言った、壮大な悩みを抱えている。しかし、そういった問題に対しての向き合い方が、我々だって「そりゃそうだ」と納得できるようになっているのだ。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 この点で分かりやすいのは『RRR』だろう。この映画では、使命と友情のあいだで揺れ動く2人の男が描かれるが、彼らの苦悩に驚くほど自分を重ねてしまう。その男は、さっきまで1人で1000人と棒だけで戦っていた男なのだが、まるで我が事のように思えるのだ。まさに映画のマジックである。これはキャラクターたちの思考/倫理観が一般人のそれと近く、そのことをしっかり描けているからだ。そして劇中で起きる様々な問題が、突き詰めて行くと我々が生きる今日にも存在する問題だからでもある。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 自分を重ねられるキャラクターに、自分も現実で直面する問題が降りかかる。そんな瞬間に、主人公らは常軌を逸したパワーで問題を解決するのだ。こうして映画は、観客の“あんなこといいな、できたらいいなマインド”を満たしてくれる。そのカタルシスはとてつもなく大きい。私だってボコボコにされて監禁されたとき、心折れた姿をバカにする気満々で来た先方の前で、ゴリゴリに筋トレをやって度肝を抜きたいものである。まずは朝のラジオ体操から始めよう。

『RRR』©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

 圧倒的なスケールに度肝を抜かれ、等身大な登場人物たちに心を持っていかれる。そして最高のタイミングで現実をブチ抜くカタルシスが何度も発生する。『バーフバリ』と『RRR』はそういう映画である。非常に真っすぐなヒーロー映画であると言っていいだろう。この機会に是非ともその凄みを目撃してほしい。では皆さん、映画のマジックの世界に入りましょう!(byスティーヴン・スピルバーグ)

■放送情報
インド映画特集『RRR』&『バーフバリ』
BS12にて、10月8日(水)より3週連続無料放送

『RRR』(主音声:テルグ語/副音声:日本語吹替)
10月8日(水)18:00~
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
出演:NTR Jr.(杉田智和)、ラーム・チャラン(日野聡)、アーリヤー・バット(久保ユリカ)、アジャイ・デーヴガン(早川毅)、レイ・スティーヴンソン(野島昭生)、アリソン・ドゥーディ(今泉葉子)、オリヴィア・モリス(内田真礼)、トウィンクル・シャルマー(田所あずさ)
©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

『バーフバリ 伝説誕生<完全版>』(日本語吹替)
10月15日(水)18:00~
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
出演:プラバース(小山力也)、ラーナー・ダッグバーティ(山野井仁)、タマンナー(佐藤利奈)、サティヤラージ(麦人)
©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

『バーフバリ2 王の凱旋<完全版>』(日本語吹替)
10月22日(水)18:00~
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
出演:プラバース(小山力也)、アヌシュカ・シェッティ(喜多村英梨)、ラーナー・ダッグバーティ(山野井仁)、サティヤラージ(麦人)、ラムヤ・クリシュナ(杉山滋美)、ナーサル(あべそういち)、タマンナー(森なな子)、スッバラージュ(渡邊隼人)
© ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

番組ページ:https://www.twellv.co.jp/program/drama/rrr-baahubali/
BS12の視聴方法:https://www.twellv.co.jp/howtowatch/

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