前原滉、『あんぱん』最終週の重要人物に 朝ドラ&大河に必要不可欠な変幻自在ぶり

前原滉、『あんぱん』最終週の重要人物に

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送がいよいよ最終週に突入した。公式サイトでは「いよいよ最終週!『あんぱん』ラストスパート」と題して、相関図を更新。新たなキャストとして、武山恵三役の前原滉と堀井満役の石橋蓮司の登場が発表された。

 前原滉は、2018年度後期放送の『まんぷく』、2023年度前期放送『らんまん』に続き、3作目の朝ドラ出演となる。主人公の福子(安藤サクラ)が発明家の夫・萬平(長谷川博己)を支え、さまざまな困難を乗り越え、日本初のインスタントラーメンを創り出した波瀾万丈の物語『まんぷく』。この作品で前原は、萬平が起こした塩作りの事業を担う「塩軍団」の一人、小松原完二を演じた。ランニングシャツに丸メガネがトレードマーク。個性派揃いの「塩軍団」の中でも唯一無二の癒し系として、素朴な笑顔が印象に残った。

瀬戸康史、中尾明慶、毎熊克哉……『まんぷく』長谷川博己を支える“塩軍団”俳優に注目

『まんぷく』(NHK総合)で、萬平(長谷川博己)の発想により始まった塩作り。そのきっかけは、福子(安藤サクラ)たちが食べたラーメ…

 また、本作と同じ高知が舞台の『らんまん』で前原が演じた波多野泰久は、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の東京大学植物学教室の研究仲間であり、同志のような存在だった。小学校を中退して、独学で植物について学んできた万太郎が東京大学に出入りするのを快く受け入れ、煙たがるどころか好意的に接していた波多野。万太郎の研究の良き理解者であり、友人としても頼りになる。

『らんまん』前原滉&前原瑞樹の“ダブル前原”がアツい 万太郎と同じ道を志す生涯の友に

「朝ドラ」こと朝の連続テレビ小説というものは、やはりその物語を牽引するのに相応しい魅力に溢れた俳優が主演を務めるものだ。放送中の…

 万太郎を中心に、波多野と藤丸次郎(前原瑞樹)の3人で植物の学術雑誌を発行する構想を練るところから始め、雑誌づくりに没頭していく。穏やかだけど、一本筋が通っている波多野のような友人がいてくれると心強いものだ。

 そして『あんぱん』の最終週に登場する前原滉が演じる武山恵三は、テレビ局のプロデューサーで『アンパンマン』のアニメ化を提案するために柳井家を訪れるようだ。仕事だから仕方なし……という義務感からの提案というより、『アンパンマン』が大好きという作品への愛情を持ち合わせている様子。『アンパンマン』が大好きな大人で、根性が捻じ曲がった卑屈な性格の人はいないだろう。

 前原滉の活躍には目を見張るものがあり、話題作への出演が引きも切らない。『まんぷく』は個性派男子の中でも穏やかな癒し系、『らんまん』は良心的で頼りになる研究者と好印象を残す役ではあったが、ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)では、派遣されてきた新管理人で、仕事にやる気はないのに妙に馴れなれしくて怪しい蓬田蓮太郎を演じた。

 映画『あゝ、荒野』の前篇では「自殺抑止研究会」主宰・川崎敬三というエキセントリックで不気味な男を演じ、衝撃的な死を遂げたシーンが話題となった。役柄によって温和な好青年でも、冷酷で風変わりな人物でも、自由自在に演じられる実力派ということは過去の作品からもわかる。

 NHK大河ドラマの出演に関しては、『おんな城主 直虎』で主人公・おとわ(柴咲コウ)の親友で、百姓の角太郎を演じた前原。『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、日本人初のオリンピック選手となった金栗四三(中村勘九郎)が故郷の熊本を離れて進学した東京高等師範学校の同級生・平田を演じた。金栗四三と同じ徒歩部で練習に励む丸メガネの好青年の役だ。『鎌倉殿の13人』では、武田信義(八嶋智人)の嫡男・一条忠頼役で、こちらは威勢のいい武士役だった。父の信義に従い、軍功を上げる勇ましい姿で、しかも甲斐源氏の役なのでメガネもしていない(父・信義役の八嶋智人も、もちろんメガネをしていない)ので、貴重なメガネ男子のメガネなし共演といえるかもしれない。

 2025年は月9『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系)に主人公の粕原雪(清野菜名)と同じ横浜市消防局・指令課3係司令管制員・箕輪健介役で出演。横浜消防局の制服が妙に似合っていて、消防局の通信司令センターに違和感なく馴染めるというのも才能としか言いようがない。ほか、『なんで私が神説教』(日本テレビ系)、『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)、『能面検事』(テレ東系)、『スクープのたまご』(TBS系)など、話題のドラマに立て続けに出演している。

 今回の『あんぱん』では、どんな演技を見せてくれるのか。のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)にとって特別な、思い入れのある「アンパンマン」をテレビアニメ化したいという思いはどれほど強いものなのか。最終回に向けて素晴らしい役者が揃った。

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、高橋文哉、眞栄田郷敦、大森元貴、戸田菜穂、戸田恵子、浅田美代子、吉田鋼太郎、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる