『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』は“三つ巴”の戦いに期待 “ラッコ鍋”は実写化可能か

『ゴールデンカムイ』映画第2弾で期待の場面

 『北海道刺青囚人争奪編』の第9話「大雪山」から続くストーリーとなると、原作漫画では第101話「鯉登少尉叱られる」、単行本では11巻あたりからが始まりとなるだろう。映画で矢本悠馬が演じて、表情から口調から杉元以上の再現ぶりを見せて評判になった白石由竹を鶴見中尉から奪還し、逃げ出して大雪山へと入った杉元たちが網走監獄に突入する14巻までの間、さまざまな出会いがあさまざまな出来事があって、北海道の自然の深さや暮らしていた人たちの生き様を見せてくれる。

 その途中で登場するのエピソードが第115話「蝗害」であり、そこで描かれる『ゴールデンカムイ』でもトップクラスに関心を集める相撲のシーンだ。相撲の何が問題なのか? 海で獲れたラッコを鍋にして食べた杉元や白石や尾形、谷垣、そしてキロランケといった面々に少し不思議なことが起こる。そして続く第116話「青い眼」で杉元が服を脱いでふんどしだけになって白石に「相撲しようぜ」と誘いかける。

 やっぱりただの相撲じゃないか。確かにそうだが絵面は違う。どう違うかは漫画を読むなりTVアニメを観て確かめてほしいが、これを山﨑や矢本や池内、大谷亮平が演じる谷垣、そして眞栄田郷敦が演じる尾形百之助が、いずれも鍛え抜かれた肉体で繰り広げた時に、どのような空気があふれ出るのか? 展開を分かっている人にはドキドキしか浮かばない。あるいは本当に実写でも描いてくれるのかが気になってしまう。

『ゴールデンカムイ』©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 それというのも、原作にあった姉畑支遁という刺青の囚人に関するエピソードが、TVアニメではまるまるカットされていたからだ。原作漫画の第23巻限定版にオリジナルアニメとして同梱され、映像になっていることはなっているがその内容はTVで放送するのは100%ムリといったもの。昨今問題となっている北海道でヒグマと人間との関係にも及ぶエピソードは、映画にすれば確実に年齢制限がつけられる。どうするか? ラッコ鍋からの相撲シーンともども注目ポイントだ。

 同じくオリジナルビデオ化された10月17日発売の公式スピンオフ小説『ゴールデンカムイ 鶴見篤四郎の宿願』(JUMPjBOOKS)限定生産アニメBlu-ray版に収録される坂本慶一郎と蝮のお銀のエピソードが、映画『網走監獄襲撃編』には盛り込まれるのかも気になるが、やはりクライマックスに来る網走監獄での杉元勢、鶴見勢、土方勢の激突でありそれぞれの活躍ぶりに期待が向かうことだけは確実だ。土方が振るう剣の鋭さに鶴見が振りまくカリスマ性が主人公の杉元やアシリパさんに負けない魅力を放って、観る人を虜にするだろう。中川大志がメイクも性格もこれまた完璧以上に再現してのけた鯉登音之進のように、あの鶴見推しがスクリーンで観られると思うとワクワクしか浮かばない。

 もうひとり、盲目の刺青囚人・都丹庵士を誰がどのように演じるかも気になるところだ。この男によって杉元たちが襲撃される場面は温泉で、そして全員が全裸。ラッコ鍋のシーン以上に、目に至福の映像が飛び込んでくるかに今から注目だ。

※アシリパの「リ」は小文字が正式表記

■公開情報
『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』
2026年3月13日(金)公開
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、矢本悠馬、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、池内博之、木場勝己、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:片桐健滋
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
アイヌ語・文化監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会 
公式サイト:kamuy-movie.com
公式X(旧Twitter):@kamuy_movie
公式Instagram:@kamuy_movie
公式TikTok:@kamuy_movie

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