『ダンダダン』音楽を“可視化”させたバトル演出の凄さ オカルンの成長をリズムが導く

異能バトルと青春ドラマを描き続けてきた『ダンダダン』の中で、第20話「がんばれオカルン」はひときわ異彩を放った回だった。
舞台となったのは学校の音楽室。そこに現れたのは幽霊でも宇宙人でもなく、モーツァルトやバッハといったクラシックの巨匠たちだった。彼らが繰り出すのは「音符爆弾」という奇想天外な攻撃。主人公オカルンは拳や呪力ではなく、“リズム感”という抽象的な力で応戦することを迫られる。サイエンスSARUが得意とする音と映像の融合が全開となっていた。
この異色の戦闘は、まさにサイエンスSARUの真骨頂が発揮された場面だ。スタジオがこれまで積み重ねてきた抽象的なものを映像として表す技術が、ここで鮮やかに結晶化している。作曲家たちが放つ音符は、ただの派手なエフェクトではない。旋律が盛り上がれば光が強く瞬き、低音が鳴れば画面全体が揺らぎ、テンポが速くなればオカルンの動きまで跳ねるように加速する。音と映像が一体となり、視聴者は音楽を「聴く」だけでなく「観る」感覚へと引き込まれていくのだ。

特に印象的なのは、劇場の天井から落下してくる観客たちが、そのまま音符へと変わっていく演出である。人間の姿と楽譜の記号が重なり合い、やがて一つのリズムとしてオカルンを襲う。演奏者と楽曲が不可分であることを、視覚的に伝える巧みなメタファーだ。サイエンスSARUがこれまで『犬王』などで挑戦してきた「音楽と映像の融合」が、ポップでユーモラスな形で再演されている。





















