『放送局占拠』“大和”菊池風磨ד武蔵”櫻井翔の不思議な共鳴関係 妖の占拠の目的が判明

“妖”たちのほぼ全員が面を外し、すでに占拠の目的を探るフェーズへと突入している『放送局占拠』(日本テレビ系)。8月23日放送の第7話では、武蔵(櫻井翔)が因縁の相手である“青鬼”こと大和(菊池風磨)を冷凍庫から救いだすか否かという選択に迫られる。妖のリーダーである“般若”こと伊吹(加藤清史郎)は武蔵にこう告げる。「大和耕一は守る価値のある人間なのか」。もちろん武蔵に迷いはない。大和の居場所を割り出し、その命を救うことを選択するのである。
そもそもこの「占拠」シリーズ自体、武装して面をつけた占拠犯たちと武蔵の攻防を描くこと以上に、武蔵と大和の、ある種宿命めいた因縁の対決を描きつづける物語であるといっても過言ではない。『大病院占拠』(日本テレビ系)の最終話で“鬼”たちのリーダーだった大和が自ら命を絶とうとした際、武蔵は「お前は生きるんだ」と強く諭す。その言葉がある以上、武蔵は大和を見殺しにはできない。得てしてこの両者のような因縁の関係には、友情とも愛情とも異なる不思議な共鳴関係が付きまとうものでもある。そこに共通の目的ができれば、手を取り合うことをも厭わない。それはまさしく、今回のエピソードの終盤の展開で示されたことだ。

さて、今回は「なぜ大和は“青鬼”に戻ったのか」「なぜ大和は“妖”から追放されたのか」の二点が主なポイントとなる。拘置所で刑務官をしていた後の“天狗”こと駆流(芝大輔)から、彼の弟が被害者となった鎌鼬事件の復讐を持ちかけられて断る大和だったが、同じ事件で親友を失った大島瞳(上西星来)との出会いで変化が生まれる。瞳は大和が病院占拠事件を起こすきっかけにもなった亡き妹・琴音と瓜二つであり、その彼女が“のっぺらぼう”に殺されたことで鬼に戻る決意を固める。

また追放された原因は、やはり「誰も殺してはいけない」という大和の掲げる美学が他のメンバー、主に伊吹と対立したからであった。一度は捕えたものの逃げだした“のっぺらぼう”。彼らを追った“輪入道”こと八丈(原西孝幸)は、爆弾犯に仕立てあげられやむなくバスジャックを選択してしまう。第1話の冒頭で描かれた、武蔵が人質たちを救った事件が、占拠事件と大きく関わってくるという流れは『大病院占拠』と同じである。そして伊吹は、八丈の復讐のために“のっぺらぼう”を殺害し、その遺体を燃やしたわけだ。

この八丈もまた、鎌鼬事件で娘を失っている被害者遺族。つまりはこの鎌鼬事件を発端として、被害者3人それぞれの兄妹(天狗、がしゃどくろ)、父親(輪入道)、恋人(般若)、そして親友の想いを受け継いだ大和によって妖が結成され、“のっぺらぼう”の背後にいる事件の黒幕――すなわち屋代(高橋克典)と、彼のさらにバックにいると思しき傀儡子につながる――に迫るために放送局を占拠することが計画された。妖の他のメンバーたちは放送局の暗部につながる事件の被害者遺族が中心となっているわけだが、あくまでも鎌鼬事件の真相を明るみに出すことが最大の目的ということか。

そのカギは、やはり妖たちが探しつづけている局内の“例の場所”にある。今回、その場所が7階と8階のあいだにある隠し部屋だとわかり、そこへ入るための方法を模索する。人質のなかにその方法を知っている人物がいる。人質内で一悶着起きるなか、伊吹はなかなか制圧せず、ある人物から送られてくるメールを待つ。差出人は、妖メンバーで唯一登場すらしていない“座敷童子”。伊吹が待っていた“情報”が、その部屋へ入るための方法だとするならば、“座敷童子”は人質のなかにいることが確定的だ。

さらにラストで伊吹が見つめているパソコンの画面に映る「PM PLAN」の文字。これもまるで『大病院占拠』の時の「P2計画」を想起させるものである。“例の場所”になにが隠されているのか、「PM PLAN」とはなにか。そこに“傀儡子”が関わってくるとなれば、やはりこの終盤になってたびたび登場するようになった“正義”というキーワード――そのあり方が問われる終幕が待ち受けているのだろう。
『占拠』シリーズ第3作目。『大病院占拠』では鬼、『新空港占拠』では干支をモチーフにしたお面が印象的だった武装集団だったが、『放送局占拠』では、妖怪のお面をかぶった妖が500名の人質をとり、放送局を占拠する。
■放送情報
『放送局占拠』
日本テレビ系にて毎週土曜21:00〜放送
出演:櫻井翔、比嘉愛未、ソニン、瀧内公美、ぐんぴぃ、高橋克典、加藤清史郎、曽田陵介、吉田芽吹、戸次重幸、福澤朗、片岡礼子、齊藤なぎさ、山口大地、真山章志、亀田佳明、北代高士、宮部のぞみ、菊池風磨
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:尾上貴洋
演出:大谷太郎、茂山佳則、西村了
脚本:福田哲平
音楽:ゲイリー芦屋
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dbs3/
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