ピーター・バラカンによる音楽映画祭が9月12日より開催 日本初公開6作品含むラインナップも

ピーター・バラカンによる音楽映画祭が開催へ

 ピーター・バラカンが監修・作品選定を務めた映画祭『Peter Barakan's Music Film  Festival 2025』が、9月12日から9月25日まで角川シネマ有楽町にて開催されることが決定した。

 本企画は、音楽評論家のバラカンが選ぶ音楽映画フェスティバル。2025年で5回目の開催となる。今回の注目作は、映画祭で上映権利を取得し、日本初公開になる6作品。

 『ジャニス・イアン 沈黙を破る』は、社会派シンガーソングライターのジャニス・イアンが、今も続く活動を振り返るドキュメンタリー。さらに、2025年に78歳で亡くなったマリアンヌ・フェイスフルについてのドキュメンタリー『マリアンヌ・フェイスフル 波乱を越えて』、ステイプル・シンガーズのリード・ヴォーカルとして有名なメイヴィス・ステイプルズについてのドキュメンタリー『メイヴィス・ステイプルズ ゴスペル・ソウルの女王』も上映される。

 ルイジアナ州南西部を中心に活動した「ザイデコの帝王」クリフトン・シュニアについてのドキュメンタリー『ルイジアナピリ辛 クリフトン・シュニアの世界』と、先日亡くなったフラコ・ヒメネスの秀でた演奏を筆頭にアコーディオン演奏者たちの姿をとらえたドキュメンタリー『テックス・メックス アコーディオン天国』は、レス・ブランク監督が手がけたアコーディオンに注目した2作品となる。そして、偉大なピアニストの多いニュー・オーリンズでは全員が最高峰と仰いだジェイムズ・ブッカーのドキュメンタリー『ジェイムズ・ブッカー ニュー・オーリンズのピアノ王子』も上映作品に加わった。

 また、本映画祭では初上映となる作品も多数ラインナップ。『ピアノフォルテ』、『ハーダー・ゼイ・カム』、『ホット・スポット』、『小さな心に祝福を』、『名もなき者/A Complete Unknown』、『Eno』、『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』、『NO ハンブルグ NO ビートルズ』、『ヒプノシス レコードジャケットの美学』、『ブラッド・スウェット& ティアーズに何が起こったのか?』、『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――』、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』、『チョーミン楽団が行く!』、『ONCE ダブリンの街角で』、『ボサノヴァ 撃たれたピアニスト』の15作品も上映される。

 さらに、2024年の映画祭で好評だった『七転八起の歌手 バーバラ・デイン』、『ボビー・チャールズ 極楽の歌』がアンコール上映されることも決定している。

 詳しい上映スケジュールは公式サイトにて発表される。

ピーター・バラカン コメント

イスの上にも五年...じゃなかったっけ?
もう5年目の音楽映画祭です。依然としてかなりの勢いで話題作、注目作、渋いけど面白い佳作など、このフェスティヴァルで皆さんと共有したい映画が沢山あります。
毎年 PBMFF で日本初公開の映画も紹介しています。しかし、この頃の物価の上昇ぶりと円安には悩まされていて、今年はクラウドファンディングで皆さんのお力をお貸しいただくことになりました。お陰さまで目標金額を超えることができ、心から感謝しています。
魅力的なライン・アップになったと自負しています(ちょっと欲張りすぎたかも...)。
今回はそれぞれタイプが違う3人の女性シンガー、ジャニス・イアン、マリアンヌ・フェイスフル、メイヴィス・ステイプルズの優れたドキュメンタリー、そしてルイジアナとテクサスの名人たちに関する作品、ぜひぜひ見ていただきたいです。
すでに公開済みの映画でも、しばらく劇場で見る機会がなかった『ハーダー・ゼイ・カム』、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』、『ホット・スポット』もあり、毎回異なった内容になるという『Eno』は必見です。
これまでのPBMFFでも上映してきた作品のアンコールもありますが、この機会を見逃さないよう、よろしくお願いいたします。有楽町でお待ちしています!

ピーター・バラカンによる日本初上映作品の紹介コメント

『ジャニス・イアン 沈黙を破る』


監督:ヴァルダ・バー・カー
出演:ジャニス・イアン、ジョーン・バエズ、アーロ・ガスリー、リリー・トムリン
2024年/114分/アメリカ/原題:Janis Ian:Breaking Silence
© Wild Rose Pictures
1975年の「At Seventeen」というヒット曲で知られる社会派シンガー・ソングライター、ジャニス・イアンが今も続く活動を振り返るドキュメンタリー。あの曲で淡々と語られる仲間はずれの女子高生の心の痛みは、50年後のSNSの時代で社会問題化している様子を思わせます。タイトルは彼女がカミング・アウトしたことを指します。

『マリアンヌ・フェイスフル 波乱を越えて』

GIRL ON A MOTORCYCLE, (aka NAKED UNDER LEATHER), Marianne Faithfull, 1968

監督:サンドリーヌ・ボネール
出演:マリアンヌ・フェイスフル、アンドルー・ルーグ・オールダム、ミック・ジャガー
2017年/61分/フランス/原題:Faithfull
©ARTE France ‒ Cinétévé ‒ Babylon Irie ‒ NTR • 2017
今年78歳で亡くなったマリアンヌは60年代にアイドルのような感じでデビュー、ミック・ジャガーとの恋愛を経て一度ドラッグにおぼれ、70年代末に別人のような復帰で喝采を浴びました。サンドリーヌ・ボネール監督に心の内を率直に語る彼女の話から、時代と共に変わる女性像も浮かび上がります。

『メイヴィス・ステイプルズ ゴスペル・ソウルの女王』


監督:ジェシカ・エドワーズ
出演:メイヴィス・ステイプルズ、ジェフ・トゥウィーディ、ボニー・レイト、ボブ・ディラン
2015年/ 81分/アメリカ/原題:Mavis!
©Film First
86歳でまだ現役のメイヴィスは70年以上の芸歴を誇る世界の人間国宝のような人です。若きボブ・ディランにプロポーズされ、ステイプル・シンガーズのリード・ヴォーカルとして「リスペクト・ユアセルフ」などのメッセージ・ソウルの名曲をヒットさせた後、ソロ活動でも常に心に響く歌を歌い続けています。

『ルイジアナピリ辛 クリフトン・シュニアの世界』


監督:レス・ブランク
出演:クリフトン・シュニア、クリーブランド・シュニア、ロバート・セイント・ジュリアン
1973年/54分/アメリカ/原題:Hot Pepper
©1973 Les Blank, Flower Films
この1973年の作品でレス・ブランクが描いているのはルイジアナ州南西部を中心に活動した「ザイデコの帝王」クリフトン・シュニア。今年で生誕100年の彼がアコーディオンを弾いて繰り広げたフランス語によるブルーズのようなゴキゲンなダンス・ミュージックは残暑を吹き飛ばす無敵のものです。

『テックス・メックス アコーディオン天国』


監督:レス・ブランク
出演:フラコ・ヒメネス、ロス・アレグレス・デ・テラン、リディア・メンドーサ
1976年/59分/アメリカ/原題:Chulas Fronteras
©1976 Brazos Films, Chris Strachwitz, Les Blank
©2018 Brazos Films, Chris Strachwitz, Les Blank Films Inc.
先日亡くなったフラコ・ヒメネスの死ぬほどカッコいい演奏を筆頭に、ノルテニョとかコンフントとも呼ばれる、アコーディオンをリード楽器にしたメクシコ系テクサスのダンス音楽はアメリカ南西部の大事な文化遺産です。その主要な演奏者たちの姿をとらえた貴重なドキュメンタリー、こちらもレス・ブランク、1976年の作品。

『ジェイムズ・ブッカー ニュー・オーリンズのピアノ王子』


監督:リリー・キーバー
出演:ジェイムズ・ブッカー、ジョー・ボイド、ドクター・ジョン、アラン・トゥーサント
2013年/98分/アメリカ/原題:Bayou Maharajah
©2013 Bayou Maharajah LLC
©Anton Corbijn
偉大なピアニストの多いニュー・オーリンズでは全員が最高峰と仰いだジェイムズ・ブッカー。ブルーズやジャズのみならず、クラシックまでマスターした彼は天才にありがちなエクセントリックなところもあり、麻薬中毒などの問題もありました。その唯一無二の才能を紹介したドキュメンタリーです。

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■公開情報
『Peter Barakanʼs Music Film Festival 2025』 
9月12日(金)〜9月25日(木)角川シネマ有楽町にて開催
料金:一般2,000円、シニア(60歳以上)1,300円、大学生1,500円 ※各種割引あり
『Eno』は特別料金2,500円均一
主催:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム、VALERIA
配給:コピアポア・フィルム
協力:ディスクユニオン、タートルエコーズ
公式サイト:http://pbmff.jp
公式X(旧Twitter):@barakansmff

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