観たことのないシーンが次々登場! 『エイリアン:アース』シンセとゼノモーフの一騎打ち

『エイリアン:アース』シンセVSゼノモーフ

ロストボーイズたちの揺るぎ

 さて、カヴァリエ(サミュエル・ブレンキン)の命令によって、任務を人命救助から現場保存と地球外生命体の捕獲に切り替える“ロストボーイズ”。第3話は中身が子供だから故の彼らの精神的な揺るぎ、そこに漬け込む大人たちの様子が印象的に描かれている。実験室で逃げ出したエイリアンの捕獲をするメンバーは自分の名前がなぜ変えられてしまったのか、なぜ『ピーター・パン』の登場人物なのか疑問を抱き始める。肉体的にもう歳を取らないからでは、という会話が起こるが、これもシンセを取り巻く「人間とは何か(自分たちは人間ではないのか)」という問いに繋がっていく。

 一方、研究開発対象を是が非でも手に入れたいカヴァリエ。子供は“無限の想像の世界にアクセスできる”として、シンセたちに期待を抱いている。そんな彼が第一号のウェンディを贔屓目で見ていることに苛立ちを隠せないのがカーリー(イラーナ・ジェームズ)だ。この“お気に入り問題”も、やはり彼女たちがまだ子供であるからこそ起きていることであり、嫉妬という“とても人間らしい行動”なのが興味深い。

 やはり中身が子供という設定によって、登場人物のリアクションやセリフの味が深まっていると感じる場面が多い。卵の番をしていたスライトリー(アダーシュ・ゴーラヴ)とスミー(ジョナサン・アジャイ)は、突然目の前に現れたサイボーグのモロー(バボー・シーセイ)から植え付けられた疑念に、深く動揺する。他人を傷つけるか、傷つけられるか、命令に従うか。モローが彼らに説くのはモラルの話で、まだ彼らは自身の親からもそんな大事な話をされていないし、理解できないような年頃だ。「誰を守るかによる、友達とか親とか」と答えるスライトリーに、モローは大きな揺るぎを“植え付けた”。

「マシンはマシンのままか?」

 肉体に接触した際に交信できるようなデバイスを埋め込まれたスライトリーは、その後頭の中でモローの声が聞こえるようになる。子供を騙すように「友達になってくれないか?」と言葉巧みに付け入るモロー。演じるバボー・シーセイは、この時に見せる“悪い大人”の表情の見せ方がとにかく上手い。改めて彼が本作における重要なキャラクターになっていくことを感じると同時に、そこに巻き込まれていくであろうスライトリーが“何に”利用されようとしているのか、不穏で気になるばかりだ。

ハーミットの肺に……

 不穏といえば、致命傷を受けたハーミットである。傷ついた肺を摘出され、新しいものを入れられて手術は無事成功した。それと同時に描かれる、カーシュ(ティモシー・オリファント)とトゥートルズ(キット・ヤング)らによるフェイスハガーの解体。その中に入っていた、おたまじゃくしのような寄生虫(おそらく、あれがいつも口内から体内に植え付けられていたのであろう……)が取り出される。それをなんとハーミットの摘出した肺に寄生させて終わってしまう第3話。その渦中、リペアが終わって意識を取り戻したウェンディは何かの音に導かれるように歩を進め、フェイスハガーの解体が行われるラボまで行くが、耳を抑えて苦しんでしまう。

 一体彼女には“何が”聞こえているのか……考えるだけでも恐ろしい。

■配信情報
『エイリアン:アース』
ディズニープラス スターにて独占配信中
出演:シドニー・チャンドラー、アレックス・ロウザー、ティモシー・オリファント、エッシー・デイヴィス、サミュエル・ブレンキン、バボー・シーセイ、デヴィッド・リズダール、エイドリアン・エドモンドソン、アダーシュ・ゴーラヴ、ジョナサン・アジャイ、イラーナ・ジェームズ、リリー・ニューマーク、ディエム・カミラ、モー・バーエル
クリエイター:ノア・ホーリー
製作総指揮:リドリー・スコット、デイビッド・ツッカー、ジョセフ・イベルティ、ダナ・ゴンザレス、クレイトン・クルーガー
©2025 FX Productions, LLC. Courtesy of FX Networks and Hulu

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