北米映画トレンドに新展開、ホラーとコメディの時代が来る? 話題作『Weapons』No.1

ホラーとコメディの時代が来る?

 ワーナー・ブラザースが歴史的快挙だ。8月8日~10日の北米映画週末ランキングは、『バーバリアン』(2022年)のザック・クレッガー監督によるホラー映画『Weapons(原題)』がNo.1に輝いた。

 本作はワーナーにとって、今年7本目の「初登場No.1」作品。オープニング興行収入が4000万ドルを超えるのは今年6本目で、どちらも前例のない記録だ。『マインクラフト/ザ・ムービー』や『罪人たち』『F1/エフワン』『スーパーマン』に続くヒットで、年明けからの不調を払拭する快進撃を見せている。

 午前2時17分、とあるクラスの小学生17人がいきなり家を飛び出し、夜の闇に消えた。謎の集団失踪事件をめぐり、担任教師と消えた生徒の父親が真相を追うが……。ジュリア・ガーナー、ジョシュ・ブローリン、オールデン・エアエンライクらが出演する本作は、クレッガー監督によるオリジナル脚本が早くから注目されており、ワーナーが製作費3800万ドルを投じて完成させた。

『Weapons(原題)』Everett Collection/アフロ

 賛否両論が基本といってよいホラージャンルにおいて、『Weapons』は“ホラー史上最高評価”といわれた『罪人たち』に匹敵する高評価を獲得。Rotten Tomatoesでは批評家スコア95%・観客スコア87%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」評価となった。

 北米ではIMAX上映の需要も高く、興行収入の3分の1以上をプレミアムラージフォーマット上映が占めた。海外市場でも2750万ドルを記録し、世界興収は7000万ドルと、すでに製作費以上のセールスとなっている。海外での人気が高いのもハリウッドのホラー映画としては特徴的で、ヨーロッパやラテンアメリカで優れた成績を収めた。

 なお、ワーナーは現時点のプロモーションで映画の重要な部分をほとんど伏せているという。これは映画の完成度に自信があるからできることで、高評価を受けた口コミ効果が大いに期待できそうだ。『罪人たち』や『ゲット・アウト』(2017年)など、観客の支持が大きいホラー映画は興行をどんどん伸ばしていく傾向にある。

Weapons | Official Trailer 2

 現時点で日本公開は未定だが、ワーナーは『罪人たち』も日本公開を急遽決定したことが記憶に新しい。『Weapons』も同じく劇場公開されることを祈るばかりだ。

 ランキングの第2位には、ディズニー製作のコメディ映画『シャッフル・フライデー』が初登場。週末興収は2900万ドルで、『Weapons』と同じく予想以上の滑り出しとなった。8月公開のPG指定作品(G指定作品も含む)では史上最高のスタートだという。

 本作は1976年製作『フリーキー・フライデー』のリブート版で、2003年製作『フォーチュン・クッキー』の22年ぶりとなる続編。ジェイミー・リー・カーティスとリンジー・ローハン、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)の子役ジュリア・バターズが共演し、祖母・母・孫娘の3世代で身体が入れ替わってしまう……。

『シャッフル・フライデー』©2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 『シャッフル・フライデー』は今年のサマーシーズンには珍しい、女性や女の子を主なターゲットとした作品であり、(アメリカでは)懐かしさで観客に訴求できるフランチャイズだ。前作『フォーチュン・クッキー』もディズニープラスでは視聴回数が伸びているという。

 海外興収も予想以上の1550万ドルを記録し、世界興収は4450万ドル。製作費は4200万ドルなので、こちらも予算以上のセールスとなった。Rotten Tomatoesでは批評家スコア73%・観客スコア93%、CinemaScoreでは「A」評価と、観客支持は『Weapons』よりも高い。日本公開は9月5日。

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