『鬼滅の刃 無限城編』3部作で興収2000億円も視野に!? 超巨大マネーの“分配と収益”の構図

もはや社会現象を超えて、“国民的コンテンツ”となった『鬼滅の刃』。公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は公開からわずか10日で興行収入128億円を突破する衝撃のスタートとなった(※1)。

404.3億円を記録した2020年の『無限列車へ編』では炎柱・煉獄杏寿郎が「400億円の男」と呼ばれ、歴代国内最高興行収入を記録したが、当時は娯楽がなかったがゆえの「コロナ禍の奇跡」と言われたものだった。しかし、今作はそれを上回るペースで数字が伸びており、煉獄を倒した猗窩座が興収で「500億の男」になる可能性も現実味を帯びてきている。
上映時期が夏休み直前というタイミングも絶妙で、小中高生の観客動員が期待できることに加えて、作品自体の完成度が異常なレベルに到達しており、熱量の高いリピーターも続出。『鬼滅の刃』というコンテンツそのものがモンスター級のパワーを持っていたと証明したかっこうだ。
『鬼滅の刃』で印税100億円超!? 漫画家・吾峠呼世晴、“素人”から大成功を掴んだ道のり
映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、公開からわずか10日間で興行収入128億円超、観客動員数は910万人を…注目を浴びているのが、第二章、第三章の興収予想だ。ファンの間では内容予想が加熱しているが、第一章は原作140話から157話の合計18話分が155分で描かれていることからすれば、おそらくは第二章は童磨・黒死牟戦の21話分。第三章は鬼舞辻無惨との最終決戦が26話分、3時間超えの超大作で公開されると予測する声が強い。
第二章では主人公・竈門炭治郎の登場シーンがほぼないという懸念点もあるが、それでも他の人気キャラたちの壮絶な戦いが描かれ、涙腺崩壊ポイントも多数あることから、第一章並みの興収は見込めそう。そして、第三章に至っては、おそらくは“国民的行事”になるだろう。そうなれば、“前人未到の1000億円達成”も夢物語ではなくなりそうだ。

では、この巨大マネーはどのように動いていくのか。まず、映画の「興行収入」とは入場料収入の合計。つまり、パンフレットやグッズ、配信や円盤の売上は含まれていない。純粋にチケットで得た売上である。その興収は大きく3者に分配される。契約にもよるが、まず50%前後を映画館が受け取る。次に10~20%を配給会社が獲得。そして残りの約30~40%が制作者に渡るというのが一般的な仕組みだ(※2)。
『無限列車編』の400億円を例にすれば、映画館が約200億円、配給会社が40億円、制作者が160億円を受け取る構図だったと言われている。そして、この制作者サイドこそがアニプレックス、集英社、ufotableという“鬼滅の中核”。この3者で権利も利益もガッツリ握っている。
意外かもしれないが、原作者である吾峠呼世晴の「原作料」は驚くほど少ない。日本文藝家協会の規定により、映画の原作使用料は上限1000万円とされており、新人作家の場合は200~400万円程度が相場とされている(※3)。実際には、そこから出版社やエージェントの手数料が引かれるため、本人の手元に残るのは最大でも700~800万円程度。吾峠氏は『鬼滅の刃』で連載デビューした新人であることを鑑みれば、最低ランクの120万円ほどだった可能性すらある。過去には映画『テルマエ・ロマエ』の原作使用料を巡っては、興行収入60億円の大ヒットにもかかわらず、原作者のヤマザキマリが「約100万円だった」と告白し、物議を醸したこともあったが、今作でも「安すぎる」という議論が沸きそうだ。
数字で読み解く『鬼滅の刃 無限城編』の凄さ 強固なファンダムを支える圧倒的ブランド力
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が凄まじい大ヒットを記録している。 史上最速となる公開8日間で、興行収入1…それでも『鬼滅の刃』は原作コミックス、グッズ、ゲーム、アニメ、イベント、舞台など、多角的な展開によって“鬼滅経済圏”を形成しており、吾峠自身もその中で莫大な印税を得ていると考えられる。
誤解されがちだが、フジテレビと『鬼滅の刃』には出資関係がなく、フジテレビは逆にテレビ放送権を購入する立場。とはいえ、放送すれば高視聴率は確実で、スポンサー収入を得やすいというメリットはある。
『鬼滅の刃』はアニメのクオリティが人気に火をつけたと言われているが、制作サイドも第一章で得た収益を次回作につぎ込み、さらにクオリティを上げてくれることだろう。「3部作合計2000億円」という偉業達成を見届ける日を待ちわびたい。
参照
※1. https://realsound.jp/movie/2025/07/post-2103498.html
※2. https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/industry/sangyou/pdf/1069_02.pdf
※3. https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2501A_V20C13A9000000/
■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
全国公開中
キャスト:花江夏樹(竈門炭治郎役)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子役)、下野紘(我妻善逸役)、松岡禎丞(嘴平伊之助役)、上田麗奈(栗花落カナヲ役)、岡本信彦(不死川玄弥役)、櫻井孝宏(冨岡義勇役)、小西克幸(宇髄天元役)、河西健吾(時透無一郎役)、早見沙織(胡蝶しのぶ役)、花澤香菜(甘露寺蜜璃役)、鈴村健一(伊黒小芭内役)、関智一(不死川実弥役)、杉田智和(悲鳴嶼行冥役)、石田彰(猗窩座役)
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:矢中勝、樺澤侑里
美術監修:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)・LiSA「残酷な夜に輝け」 (SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
総監督:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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