『鬼滅の刃』冨岡義勇の好物“鮭大根”を作ってみた 「無限城編」を観た後に食べたい一品

あの映画やドラマに出てくる美味しそうな料理は、どうやったら食べられるのか。スクリーンの向こうから食欲を誘う、濃厚で魅力的なパスタや、物語の中から香り立つように登場する心温まるクリーミーなスープ。ああ、どうしても食べてみたい。でもその料理たちは、画面の中の世界でしか味わえない……。
しかし、ふと思った。もし食べられないのなら、自分で作るのはどうだろう?
そんな“エンタメグルメ”に憧れるライターのすなくじらが、実際に料理を作ってみる連載「絶対食べたいグルメ」。第8回は、『鬼滅の刃』より、冨岡義勇の好物として知られる「鮭大根」を作ってみた。
さて、アニメ『鬼滅の刃』といえば、つい先日『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『無限城編 第一章』)が公開されたばかり。
『無限城編 第一章』の中でも、上弦の参・猗窩座との激闘における義勇の活躍は、もはや炭治郎に並ぶ主人公級の存在感。特に、水の呼吸の技が織りなすしぶきやうねりの映像美は圧巻で、映画館の大スクリーンで観ると息を呑む迫力だった。
そんな義勇の好物として、公式から紹介されているのが「鮭大根」。一見地味に思えるかもしれないが、『鬼滅の刃 外伝』では、あの義勇がしのぶにドン引きされるほど満面の笑みを見せるという、衝撃のワンシーンもある。よほど好きなのだろうし、きっとただものではない美味しさなのだろう。
かくいう筆者も最初はぶり大根に似た味を想像していたのだが、実際に作って食べてみると、意外な違いがいくつもあった。
そして何より驚いたのが、鮭大根がなんとこの連載史上もっとも簡単な料理だったということ。材料も工程もとにかくシンプルで、拍子抜けするほど手軽に作れてしまう。「包丁を持つのが久しぶり……」「子どもと一緒に作ってみたい!」という方にもぴったりの一品だ。
■材料(4人分)
銀鮭:4切れ(約400g)
大根:15cm分(約450g)
大根の葉(あれば):適量
生姜(薄切り):4枚
水:300ml粉末だし:小さじ1
味噌:大さじ1と1/2
みりん:大さじ1と1/2
砂糖:大さじ1/2
大根は皮を剥き、1.5cmほどの半月切りに。大根の葉がある場合は、細かく刻んでおく。銀鮭は一口大にカット。

鍋に水、粉末だし、大根を入れ、ふたをして中火で5分ほど煮る。味噌、みりん、砂糖を混ぜた調味液を加えてよく溶かし、銀鮭と生姜を加える。

落とし蓋(なければアルミホイルでOK)をして15〜20分、弱火で煮込む。

ある場合には仕上げに大根の葉を加え、さっと煮たら完成。

見た目はやはり「ぶり大根の鮭バージョン」に近いかもしれないが、実際に食べてみると印象はかなり違う。最大の違いは味付け。一般的なぶり大根は醤油ベースのしっかり濃い味が多いのに対し、こちらは味噌ベースでぐっとまろやかに。
さらに、生姜と粉末だしのおかげで臭みもなく、全体的にやさしく落ち着いた味わいになっている。煮物の“こってり感”が苦手な人には、むしろこの味噌仕立ての方が食べやすいかもしれない。
銀鮭は加熱しすぎるとパサつきがちだが、短時間の煮込みと落とし蓋で、ふんわり柔らかく仕上がるのも嬉しいポイント。大根にも出汁がしっかり染みていて、ごはんのおかずにもぴったりな満足感がある。
大正時代という設定を思い浮かべると、当時は今のように調味料が豊富だったわけではなく、限られた素材で工夫していたのだろう。そう思うと、このシンプルな工程にもリアルな説得力があるのではないだろうか。
作り方が簡単なだけでなく、使う食材もすべてスーパーで手に入るものばかり。映画館で無限城での戦いに心を揺さぶられたその日の夕食に、一皿を添えてみるのもいいかもしれない。義勇の好物を通じて、鬼滅の世界をちょっとだけ“味わって”みるのも楽しいはずだ。






















