『魔法少女山田』は異色すぎるホラー じわじわと迫る“不安感”に中毒者続出

異色すぎるホラー『魔法少女山田』を解説

 なお現実と虚構を攪乱するという仕掛けは、「TXQ FICTION」シリーズに限らず、大森プロデューサーの携わった作品の共通点と言える。

 最初に大森の名を世に知らしめた『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』は、「お笑い芸人のAマッソがMCを務める主婦応援バラエティ番組」という体裁のホラーモキュメンタリーだった。

Aマッソのがんばれ奥様ッソ! 公式Xより

 Aマッソの2人はスタジオで、芸能人による“奥様お助けロケ”のVTRを見るのだが、そこには近親相姦やカルト宗教の洗脳など、不穏な事態を匂わせる要素が散りばめられている……という構図だ。

 たんに奇妙な映像を流すだけなら、ありがちなホラー作品でしかないが、その映像を平然と受け止めるMCという多重構造をしっかり作り込むことで、映像の全体にリアリティを与えている。

 しかもこの出演者の人選も絶妙。尖った世界観のコントで知られるAマッソを、あえて平凡なバラエティのMC役に据えることで、“何かがおかしい”というメッセージを暗に伝えている。

 『魔法少女山田』でも芸人の使い方が冴え渡っており、第一夜では『探偵ナイトスクープ』風の依頼解決番組にトム・ブラウンが出演しているところが映されていた。トム・ブラウンといえば狂気を感じさせる設定とキャッチーなお笑いを両立しているコンビなので、虚構なのか現実なのか分からない奇妙な映像にこの上なくハマっている。

 大森作品はいずれもホラーとして分かりやすい演出があるわけではない。しかし隅々まで作り込まれた世界観によって、画面を超えて侵食してくるような生々しい不安感を視聴者に抱かせてくれるのが大きな魅力だ。

 『魔法少女山田』ではどのようなオチが待ち受けているのか、気になる人はぜひ最終夜まで見届けてほしい。

■放送情報
TXQ FICTION『魔法少女山田』
テレビ東京にて、7月28日(月)24:30〜25:00放送
広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 公式サイト、TVer、Lemino)にて見逃し配信
動画配信サービス「U-NEXT」にて見放題配信
©︎テレビ東京
公式X(旧Twitter):@TXQFICTION
公式Instagram:@txqfiction

 

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