韓国ミュージカルの虜になること間違いなし! 『エリザベート』を映画館で堪能できる喜び

ミュージカル『エリザベート』を映画館で堪能

 7月11日から全国各地の映画館で公開されている「韓国ミュージカル ON SCREEN」を、早速鑑賞してきた。

 珠玉の韓国ミュージカル5作『エリザベート』『ファントム』『マリー・アントワネット』『笑う男』『モーツァルト!』をスクリーンで上映するという「韓国ミュージカル ON SCREEN」。それぞれ2週間限定で順次公開される。

 鑑賞したのは、第1弾目の『エリザベート』。平日にもかかわらず、客席はほぼ満員御礼だった。根強い人気があることは知っていたが、韓国ミュージカル熱の盛り上がりを改めて肌で感じた。

 韓国ドラマと韓国映画は星の数ほど観てきたが、実は韓国ミュージカルはほぼ初めて。いつかは現地の舞台で観てみたいとずっと思ってきた。

 昨今、ドラマや映画で活躍するミュージカル俳優が増えている。ミュージカル出身の俳優は、身体全体で表現することに慣れているからか、画面に登場しただけで演じている人物の性格が手に取るようにわかる。そんな演技の源ともいえる韓国ミュージカルはどんな世界なのか、興味が募っていた。

歌声に圧倒されること必至の『エリザベート』

『エリザベート』©2022 EMK Musical Company, All Rights Reserved

 『エリザベート』は、1992年から上演されているウィーンミュージカルの記念碑的作品だという。日本でも宝塚歌劇版と東宝版が上演されており、多くのミュージカルファンに親しまれてきた作品だ。韓国でも2012年に上演されて以来、高い人気を誇っている。ミュージカルは門外漢の筆者でもタイトルはよく聞いていた。

 物語の舞台は、長年ヨーロッパに君臨していたハプスブルク帝国末期の19世紀半ば。バイエルン王国侯爵の次女としてのびのびと育ったエリザベートが、オーストリア皇帝に見染められ、皇妃となるところから物語は動いていく。

 本作がユニークなのは、そうした歴史だけを描いていくわけではないところ。エリザベートの心の在り様を見せる“死”を擬人化した存在トート、ストーリーテラーとしてエリザベートを暗殺したルキーニを登場させることによって、物語が重層的に展開されていく。

 オーストリア皇妃となったあとも自由を追い求める主人公のエリザベートを演じるのは、オク・ジュヒョン。アイドルグループFin.K.L.の元メンバーで、2012年の上演以来、エリザベートを演じ続けている。

『エリザベート』©2022 EMK Musical Company, All Rights Reserved

 魅惑的なトートを演じるのは、韓国ミュージカル界のライジングスターのイ・ヘジュン。扇動的なルキーニを演じるのは、『最高です!スンシンちゃん』など韓国ドラマでも活躍するイ・ジフン。

 ミュージカル俳優の演技を観たいと思って映画館に足を運んだが、実際鑑賞して最も圧倒されたのは歌唱力だった。とにかく声量がすごい。

『エリザベート』©2022 EMK Musical Company, All Rights Reserved

 特に「私だけに」という楽曲のクライマックス、オク・ジュヒョンが「自由~!」と伸びやかに歌い上げる場面では、歌詞の内容も相まって涙があふれ出た。歌というものの底知れぬ力を感じた。本作には、観客の拍手や声援も収録されているが、思わず一緒に拍手をしてしまいそうになった。

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