『光る君へ』大石静や『龍馬伝』福田靖ら“名手”たちが勢揃い 夏ドラマは“脚本家”に注目

とかくテレビドラマでは出演者が誰なのかが注目されがちだ。とくに、主演俳優が誰なのかでその作品を観るかどうかを決める視聴者が多い。とはいえもちろん、作品の良し悪しを決定づけるのは俳優ではない。私たちの関心を惹きつける脚本、見応えある俳優たちの演技、それらを見事に料理してみせる演出家の手腕ーーこれらが揃ってこそ、その作品はクオリティの高いドラマになり得るだろう。
中でも重要なのは脚本だ。この7月期には、「名作」を生み出してきた名脚本家が揃っている。あなたが注目しているのは、誰の、どの作品だろうか。ここでは3作品と3名の脚本家をピックアップしてみたい。
放送中の『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、『百円の恋』(2014年)で映画界を席巻し、連続テレビ小説『ブギウギ』(2023年度後期/NHK総合)で国民的な脚本家になった足立紳の最新作だ。彼とその妻・晃子による連載日記『後ろ向きで進む』を原案とし、国民的ドラマを手がける脚本家・賢太(小澤征悦)と、彼をここまで支えてきた妻の朝子(中村アン)の関係を描いていくものである。

これまでにも足立は、脚本家として、監督として、『14の夜』(2016年)や『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2023年)といったオリジナル作品を手がける流れの中で、 『喜劇 愛妻物語』(2020年)や『それでも俺は、妻としたい』(テレビ大阪・BSテレ東)などの自伝的な作品を世に送り出してきた。いずれも重要なモチーフになっているのは「夫婦関係」で、厳しい妻と残念な夫の姿を描いている。今作でそれを体現するのは、小澤征悦と中村アン。なかなかに強烈な夫婦のやり取りと、その中で繰り広げられる軽妙な会話劇のバランスに注目したいところ。ひょっとすると妻の朝子からは、『ブギウギ』のヒロインである福来スズ子(趣里)の姿を見つけることができるかもしれない。

放送中の『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜』(テレビ朝日系)の脚本を手がけるのは、大河ドラマ『龍馬伝』(2010年/NHK総合)や連続テレビ小説『まんぷく』(2018年度後期/NHK総合)などで知られる福田靖。いや、彼の代表作を何とするかは、視聴者や観客ごとに異なるか。木村拓哉主演の『HERO』(フジテレビ系)シリーズや、映画『海猿』(2004年)、それから『DOCTORS〜最強の名医〜』(テレビ朝日系)シリーズも彼の代表作で間違いない。どんなテーマを持つ作品であっても、何でもござれの脚本家である。





















