尾碕真花×松本怜生、2人で作り上げた“キラキラ”の裏側 「スマホがない時代の恋愛に憧れて」

柳井わかなの同名コミックを実写ドラマ化する『シンデレラ クロゼット』(TBS系)が、7月1日より放送開始される。おしゃれなキャンパスライフに憧れて地方から上京してきた女子大生・春香と、自分なりの美を追求する専門学生で女装男子・光。2人がさまざまな人物の影響を受けながら成長していく青春ラブストーリーだ。
春香を演じる尾碕真花、光を演じる松本怜生に自身と役柄との共通点や、撮影を通して変化していった2人の距離感、それぞれの上京エピソードなど、息ぴったりの掛け合いで語ってもらった。
【写真】尾碕真花×松本怜生インタビュー撮り下ろしカット(全9枚)
松本怜生「女装のときには常に気が抜けませんでした」

――出演が決まったときのお気持ちは?
尾碕真花(以下、尾碕):私は今回、初めて少女漫画の実写化を任せていただいたんです。『シンデレラ クロゼット』は王道のラブストーリーですし、最初は「キュンキュンするようなキラキラした世界に、私は馴染めるんだろうか」という不安がありました。でも、それと同時に小学生の頃から少女漫画は好きだったので、その世界に自分がヒロインとして飛び込んでいけることが楽しみでもありました。
松本怜生(以下、松本):僕は概要を聞いたとき、正直「できるかな」と思いました。少女漫画はいつかやってみたいなと思っていたジャンルでしたけど、やっぱり女装男子という設定が難しくて。その設定を崩さないために、喋り方や立ち方、歩き方が一つもズレてはいけないな、という責任感もあったので、初めは不安でいっぱいでした。

――その不安を払拭するために、たとえばどんなことを?
松本:ごめんなさい、街中の女性をいっぱい観察してしまいました(笑)。携帯を触る(手の)高さも違うし、カバンの持ち方も違うし、女性は腕を組んでる方が多いですよね。男性とは重心も違って……いや、本当に変な目では見てないですよ?
尾碕:役のために、ね(笑)。

――ちなみに、尾碕さんはどんな少女漫画が好きだったんですか?
尾碕:小さな頃から、“男の人がヒロインをグイグイ引っ張っていく系”の少女漫画が好きでした。『好きっていいなよ。』や『オオカミ少女と黒王子』を読んでいました。

――松本さんは「やってみたいジャンルだった」とのことですが、どんなところに魅力を感じていたのでしょうか。
松本:あまり少女漫画は通ってこなかったんですけど、『恋空』の小説は読んでいました。それから、ポケベルって言うんですかね? スマホがない時代の恋愛にすごく憧れていて。手紙で約束するとか、街でいきなり会うとか、すごくいいですよね。
尾碕:ロマンチストだね(笑)。
松本:絶対ないじゃん、今の時代。だから、そういう恋愛を経験してみたかったなって。でも、たしかにロマンチストかも(笑)。

――(笑)。実際、キラキラした世界に入ってみていかがでしたか?
尾碕:楽しかったです。でも、キラキラするってすごく体力を使うんだなと思いました。楽しいけど、常にハイのテンションなので夜になるにつれてエネルギーがどんどん足りなくなってくる感じがして。「キラキラするって大変だな」と思いながら撮影しています。
松本:キラキラを作るって、難しいですよね。僕らもそうですけど、スタッフさんも。ハイパースローが多かったりもしますし、「キラキラを再現するにはすごく手間暇がかかるんだな」と感じました。
――ご自身の中で役柄をどう捉えて、どう演じようと心がけていましたか?
尾碕:春香はすごく真っすぐで、素直で、根っからのいい子なんですよね。悪口を絶対に言わないし、すごく他人を思いやれる性格だな、と原作を読んで感じたので、尾碕自身の毒を抜くところから始めました。春香だから許されるというか、春香だから嫌味に感じないセリフや態度が作中に出てくるんです。それを私がやると、絶対に嫌味な感じに映ると思ったので、それだけは避けたくて。とにかく毒を抜く役作りを心がけました。
松本:僕は頭で考えても、紙に書いても、結局フィーリングでお芝居をしちゃうタイプなので、「何が一番心地いいかな」とずっと試行錯誤していました。最初は「声を、声を」と気にしていて。でも、府川(亮介)監督とも相談して、声をあまり気にしすぎないようにしました。光は誰が見ても女性だと思い込むような人物なので、声が男で「あれ?」と思われるのはおかしいんですよね。でも、妥協するわけじゃないですけど、“3次元でできることとできないこと”はちゃんと理解しなければいけなくて。声を気にしないほうがやっぱり表情や動きがよくなるので、設定を頭に入れすぎず、リラックスした状態で芝居をする。それが、光を演じるにあたって案外大事なことでした。

――特に印象的だったシーンも教えてください。
尾碕:私は光と二度目の再会をするコスメショップのシーンですね。春香がものすごく一方的に光に喋るんですよ。そのシーンを撮ったとき、全然暑くない季節なのにものすごく汗が出てきて。人はウワーッと熱くなって喋ると、体温も一緒に上がっていくんだなと初めて実感した日だったので、すごく印象的でした。

――今まではクールな印象の役が多かったですもんね。
尾碕:わりとグレた役とか、ささくれた役が多かったですね。
松本:ささくれって、合ってるの?(笑)。ヤサグレみたいなこと?
尾碕:そうそう。でも、ヤサグレとはちょっと違って、ささくれ程度(笑)。
松本:厄介だなぁ(笑)。
尾碕:あははは(笑)。でも、そういう役が多かったので、こんなにピュアな役は初めてかもしれないです。
松本:僕が印象的だったシーンはどこだろうなぁ。でも、女装していると昼間はすごく暑いし、夜はミニスカートなのですごく寒いんですよ。だから“このシーン”というより、女装全般ですね。女装のときには常に気が抜けませんでした。

――「女性って大変なんだな」と思いました?
松本:思いました。でも、これは女性が大変なのか、女装が大変なのか、正直わからないんですよね。
尾碕:よく「スカートだと座り方がわからない」って言ってたよね? 私たち女性陣は普通に座れるので、「ああ、そっか」と新鮮でした。今までしてきていないことをするのは難しいんだなって。

松本:あれは、どう頑張っても見えちゃうから(笑)。
尾碕:いや、見えない角度があるから(笑)。
松本:でもそれ、習ってないし(笑)。座るときに羞恥心とか、危機感を感じたことがないからね。「座ったら危ない」と思ったことがないし、気づくとガニ股になっちゃうこともあったりして、いろいろと大変でした。



















