『あんぱん』江口のりこは“バタコさんのような存在” 名バイプレイヤーが演じ分ける女性像
『あんぱん』では、嫁ぎ先の「朝田石材店」の家業を手伝いつつ、家事育児をこなしながら夫を支えてきた母親役。『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』では、営業部で働くバリキャリOLだったが、育休明けのタイミングで総務部へ異動し、仕事と育児の両立に悩む母親役。タイプは異なるが、この2作は夫が不在がちで、育児はワンオペという意味では共通点がある。そして、『ソロ活女子のススメ5』では、タイトル通りソロ活を楽しむ独身女性役。同時期に放送されているドラマで、これだけ違ったキャラクターを演じ分け、視聴者を楽しませることができるのは、江口の演技力の賜物に他ならない。
『対岸の家事』が描く子育て夫婦のリアル 多部未華子×江口のりこが“再び”手を取り合う
“共働き世帯”がデフォルトになり、女性もキャリアを諦めなくてもよくなったものの、専業主婦の詩穂(多部未華子)は「絶滅危惧種」とオ…「劇団東京乾電池」の研究生を経て、2000年に団員となった江口は舞台出演と並行して、2001年放送の火曜サスペンス劇場『警部補 佃次郎12 死にいそぐ女』(日本テレビ系)を皮切りに、数多くのTVドラマや映画に出演してきた。初期の頃のレギュラー出演作には、『貫太ですッ!』(2003年/東海テレビ)、『時効警察』シリーズ(2006年〜2019年/テレビ朝日系)、『1ポンドの福音』(2008年/日本テレビ系)、『ゴーイング マイ ホーム』(2012年/カンテレ・フジテレビ系)などがあり、『マッサン』(2014年度後期)で朝ドラ初出演を果たす。NHK大河ドラマには、『花燃ゆ』(2015年)と『鎌倉殿の13人』(2022年)に出演している。
さらに、『コウノドリ』シリーズ(2015年〜2017年/TBS系)、『anone』(2018年/日本テレビ系)などに出演した江口は、2021年は『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系)と『俺の家の話』(TBS系)などで存在感を示し、『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京系)で民放の連続ドラマに初主演。現在まで、5シーズンも続く人気作となっている。
その後、フジテレビ系木曜劇場『SUPER RICH』(2021年)などでも主演を張るようになった江口は、これまで数々の映画でも活躍。主演作は『月とチェリー』(2004年)、『お姉ちゃん、弟といく』(2010年)、『砂の影』(2008年)、『ユリ子のアロマ』(2010年)、『戦争と一人の女』(2013年)、『お母さんが一緒』(2024年)などがあり、吉田修一の同名小説が原作の『愛に乱暴』(2024年)では、平穏だったはずの日常が乱れ始め、追い詰められて異常な行動を取る主人公の主婦を熱演。江口の圧巻の演技は、ずっと脳裏に焼き付いている。
主演としても、バイプレイヤーとしても、シリアスなドラマでも、ユニークなコメディでも、どんな役でも魅力的に演じこなす江口。彼女は、『あんぱん』ではバタコさんのように温かい眼差しで、家族を支える羽多子に扮しているが、第2週以降、ヒロインが成長し、永瀬から今田美桜にバトンタッチした後も、引き続き太陽のような存在の母親を体現してくれるだろう。
参照
https://www.nhk.jp/p/anpan/ts/M9R26K3JZ3/blog/bl/pdojxkWjnp/bp/pWEoL12jdD/
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、妻夫木聡、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK