『日本一の最低男』が誠実に向き合った同性婚 大切なのは“理解”ではなく純粋な感情の尊重

 劇中でも語られるように、同性婚が当たり前のようにできる社会が形成されている国もあれば、日本のようにそうではない社会も存在しており、すぐにすべてが理想的なかたちになることはなかなか難しいことでもある。もっとも、促されるべきは“理解”することやそのアピールではなく、異なる価値観だからといって否定しないこと。そういった意味では、息子からカミングアウトされた慎太郎が、その場では戸惑いを隠しきれず黙り込む描写は、現時点においては適切な描き方といえるかもしれない。

 また、結果的に手作りの結婚式で慎太郎の梅ジュースがウェルカムドリンクとして振る舞われることはなかったけれど、一平が取材したテレビ番組の映像を通して慎太郎は剣聖の思いを受け取る。「いつでも帰ってこい」と電話越しに剣聖を抱きしめるような言葉をもって、ぎこちなくなっていた父と子の関係が元通りになるという開いた終わらせ方を選んだことも然り。

 慎太郎のように従来の価値観のなかで生きてきた者を画一的に描かない一方で、まだ社会全体の価値観が醸成されきっていないなかで育つ子どもたちにどうやって伝えていくべきなのだろうかという点を取り上げたことも見逃せない。正助は朝陽に『いろいろな性ってなんだろう?』という本を読み聞かせ、ひまりと朝陽に「もし誰かと一緒にいたいと思ったら、その気持ちを大切にしてほしい」と語りかける。そうした個々のシンプルな感情の尊重を積み重ねたり寄せ集めたりしていった先に、社会はできていくものである。

■放送情報
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:香取慎吾、志尊淳、冨永愛、増田梨沙、千葉惣二朗、向里祐香、佐野玲於、橋本じゅん、安田顕ほか
第1話ゲスト:草彅剛(友情出演)
脚本:政池洋佑、蛭田直美、おかざきさとこ、三浦駿斗
演出:及川拓郎ほか
プロデュース:北野拓ほか
主題歌:香取慎吾「Circus Funk(feat. Chevon)」(トイズファクトリー)
制作協力:テレパック
制作・著作:フジテレビ
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