松下洸平の佇まいに滲んでいた“思い続けてきた”時間 『光る君へ』周明の衝撃的な幕切れ

『光る君へ』周明の衝撃的な幕切れ

 松浦へ向かうまひろを送る道中、2人は語らう。「私はもう終わってしまったの…」「終わってしまったのに、それが認められないの……」と心の内を明かすまひろに、周明は「まだ命はあるんだ」「これから違う生き方だってできる」と訴えかける。松下がまっすぐ向ける視線や口ぶりから、まひろを励ましたいと願う周明の心がひしひしと伝わってきた。書くことが全てで、違う生き方など考えられないと言うまひろに、周明は懸命に違う答えを考えた末、「俺のことを書くのはどうだ?」「親に捨てられて宋に渡った男の話は面白くないか?」と笑いかける。自分にできることはないかと考え、さまざまな言葉をかけてまひろの心を軽くしようとする周明の姿に、まひろを思いやる彼の深い心を感じる。

「書くことはどこででもできる」

 周明の言葉はまひろの心に強く刻まれたはずだ。だが、第46回は衝撃的で悲しい幕引きを迎える。

 松浦に行くため、船越の津までやってきたまひろと周明は、そこで刀伊の襲撃に巻き込まれる。刀伊と武士たちの戦いに巻き込まれる直前、周明は「松浦に行って思いを果たしたら、必ず大宰府に戻ってきてくれ」「その時に話したいことがある」と伝えていた。まひろに話したかったこととは何か。かつてともに宋へ行こうと話していた周明は、ともに生きようと伝えたかったのではないかと思う。

 間一髪のところで双寿丸(伊藤健太郎)たち武士が駆けつけ、助かったと思った矢先、周明の胸を一本の矢が貫く。周明とまひろが手を取り合った瞬間の出来事だった。一度つないだ手が離れていく。あまりにも酷だが、これも人の宿命か。倒れ込んだ周明を茫然と見つめるまひろの横顔で第46回は幕を閉じた。

 松下の演技から、別れてからの日々を埋めるように2人の距離が縮まるのが感じ取れたからこそ、突然訪れた別れの衝撃は大きい。次回、第47回のタイトルは「哀しくとも」。予告では泣きじゃくるまひろの顔が映し出されていた。哀しくとも別れが訪れるのは確かだろう。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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