『若草物語』逆境を糧に変えていく涼は紛れもなく“圧倒的なヒロイン” 一ノ瀬颯の存在感も
「ママにお金持ち逃げされた!」。そんなインパクトのありすぎる言葉が飛び出した日曜ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系)第4話。個性豊かな姉妹たちに魅了されていた視聴者たちは、この一言で思い知ることとなる。そう、彼女たちの自由奔放な母親は、姉妹たち以上に型破りな存在だったのだと。
涼(堀田真由)はベテラン恋愛脚本家の大平かなえ(筒井真理子)と少しずつ信頼関係を築き、順調に生活が進むかと思われた。しかしそんな矢先、町田家を襲ったのは思いもよらぬ金欠だった。涼は晴れてかなえの元でプロットライターとしてのキャリアをスタートさせることになったものの、新人には厳しい業界の現実が待ち受けていた。
家賃の更新料の支払いが迫る中、四女・芽(畑芽育)の学費の工面も待ったなしの状況。プライドの高い涼は、「私の原稿料で何とかする」と強がって見せるが、まとまった収入が入るまでにはまだ時間がかかり、町田家の財政は大ピンチに。さらに肝心の執筆も、恋愛経験の乏しさが仇となり、作業は思うように進まない。締め切りに追われながら、涼は「人が恋に落ちる瞬間」を描くことに苦心していた。
長らく音信不通だった母・満美(坂井真紀)が、まるで台風のように町田家に舞い戻ってきた時、姉妹たちは言葉を失う。自由奔放を絵に描いたような満美は、恋に落ちると周りが見えなくなる超スーパー恋愛体質の持ち主。そんな満美が持ち込んできたのは、なんと5度目となる結婚話。
しかし、(満美曰く)恋人のデイビッドは、弟の心臓移植費用として30万ドルの借金を持ちかけてきていると知り、涼は鋭く詐欺の影を感じ取る。案の定、デイビッドからの贈り物である指輪を質屋へ持っていくと偽物だったことが判明。
家計がひっ迫しているにもかかわらず、律(一ノ瀬颯)からの援助を断固として拒んだ涼は、ついに消費者金融の門を叩くことを選んだ。それは決して望ましい選択ではないかもしれない。けれど、自立を誇りにする涼には、他人の善意さえも重荷に感じられるのだろう。幼い頃から、こうした母の尻拭いを経験してきた涼だからこそ、恋愛感情を徹底的に拒絶するようになっているのかもしれない。
しかし、たとえ厳しい道のりであっても、自分の力で問題を解決しようとする涼の姿には、芯の通った強さが宿っている。恋に奔走する母とは対照的に、涼は恋愛とは無縁の人生を歩んできた。けれど、逆境を糧に変えていく彼女の姿は、恋をしていなくても、結婚をしていなくても、紛れもなく“圧倒的なヒロイン”だった。