『放課後カルテ』はなぜ“リアルな教室”に? 松下洸平の子役たちとの接し方から分析

『放課後カルテ』はなぜ“リアルな教室”に?

 ぶっきらぼうだけど、どこか憎めない。そんな牧野先生がいる学校には、いつも子どもたちの息遣いが満ちている。ガヤガヤとした休み時間、タイプの違う子たちが揃った教室、仲の良い友達との何気ない目配せ……。それらは、私たちがこれまでの人生で、一度は目にしてきた教室の風景そのものだった。

 放送開始からさっそく人気を集めている『放課後カルテ』(日本テレビ系)が見せるのは、そんな懐かしくも新鮮な教室の空気感だ。

 この“本物の教室”の雰囲気を作り上げているのは、500人規模のオーディションを経て選ばれた個性豊かな30人。もちろん30人もいれば、子どもたち全員に主役級の見せ場があるわけではない。しかし、そこも含めてどこかリアルな実際の教室の姿のように思う。

 兎にも角にも、あっちもこっちも子どもばかりな本作。公式YouTubeでは、子どもたちの素顔も見ることができる。

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 すこし意地悪な言い方をすれば、こういったインタビューでは、どうしても「一生懸命頑張ります!」「役を意識して……」といった、あざとい受け答えが目立ちがちだ。しかし本作の子どもたちは「お人形が好き」「百人一首が得意」といった小学生らしい素直な一言が印象的で、かえって好感が持てた。

 制作の意図もあるのだろうが、演技に気を取られすぎず、同年代の多い現場で等身大の自分を自然に表現できる子どもたちだからこそ、ドラマの中でも無理のない演技ができるのだろう。子どもたちが一生懸命に病気に向き合ったり、逆に友達を心配する姿には、良い意味で“子どもらしい”リアリティがある。

 『放課後カルテ』の子どもたちの演技の中でも、印象的な山場を見せたのが岡本望来演じる冴島啓だ。他の子どもたちよりも、時に大人びた雰囲気を感じさせる啓。岡本望来は、救命処置のシーンでノーカットの圧巻の演技を披露した。涙を流しながらも必死に心臓マッサージを続ける啓の懸命な行動が、男性の命を救うことになった。

 本来、子どもといえど一人ひとりの成長のペースは違うし、信頼関係を築くまでの道のりも様々だ。こうした、本作の「子どもだから」と一括りにしない信頼の積み上げ方や成長の描き方は、ドラマでも丁寧に扱っている部分なのかもしれない。

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