ファーストサマーウイカ「シンプルに嫌」 『光る君へ』ききょうの複雑な心境を明かす

ファーストサマーウイカが複雑な思いを語る

 ききょうと別れた後、ききょうの言葉を一人思い返していたまひろに声をかけるのが小林きな子演じる宮の宣旨だ。「皆様は、どういうお気持ちで宮仕えをなさっておられるのかと考えておりました」と打ち明けたまひろに、宮の宣旨は「そなたは何のためにここにおる?」と問いかける。まひろと宮の宣旨のやりとりは終始穏やかだ。まひろと賢子(梨里花)の仲がうまくいっていないことを言い当てた宮の宣旨の「夫婦であっても、親子であっても、まことに分かり合うことはできぬのではなかろうか……。さみしいことだが」という言葉が、まひろの心にどう響いたのかはまだはっきりとは掴めない。ただ、宮の宣旨がまひろを気にかけていることは伝わってきた。

 宮の宣旨ら女房たちは第32回の終わりに初めて登場した。この場面では、まひろを見やる女房たちのまなざしが冷ややかに見え、不穏な空気が漂っていた。だが、宮の宣旨は他の女房たちに比べるとまひろへの対応が中立的だ。それは他の女房たちよりもやりがいを持って宮仕えしていることの表れかもしれない。小林は、宮の宣旨について「女房という仕事をたぶん天職と思っていると思うんですよね」と語り、「(“姫様”感が抜けていない他の女房たちを)まとめていくって結構、大変なことだと思うんですけど、やりがいを感じているんだろうなというふうに思っています」とコメントした。小林曰く、宮の宣旨は中宮・彰子のことを一番に考えているからこそ、まひろには嫉妬を向けるのではなく「変わり玉のすごい人が来た」という気持ちだったと語る。

 小林はインタビューの中で、まひろに語った言葉の真意を語っている。

「大切な帝・中宮様ではあるけれども、その前に自分と自分の家族が幸せじゃないと、働くのも自分自身の幸せがあってだからこそ、誰かを幸せにできるとか誰かのために心も体も健康で尽くせるんじゃないかなって思っていました」

 もう少し肩の力を抜いてもいいのでは、と寄り添う宮の宣旨の姿は人間的な魅力のある理想の上司に映る。それは小林が表現する穏やかな佇まいと台詞の言い回しがあってこそ。まひろが思い悩む時、彼女の心を軽くするものの一つとして、宮の宣旨とのやりとりが登場するのを期待したい。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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