『シビル・ウォー アメリカ最後の日』はいま観るべき一作　臨場感あふれる驚きの音響設計

　カメラで戦禍を記録していくジャーナリストの姿を通して描かれていく右派と左派の分断。主人公は、『スパイダーマン』シリーズや『パワー・オブ・ザ・ドッグ』などで知られるキルスティン・ダンストが演じる、戦場フォトグラファーのリー・スミス。そんな彼女と対比するように描かれるのが、『エイリアン：ロムルス』での好演も記憶に新しいケイリー・スピーニーが演じる、リーを尊敬する戦場カメラマン志望の若者ジェシーだ。『ヴァージン・スーサイズ』や『マリー・アントワネット』などに出演してきたダンストと『プリシラ』で主演に抜擢されたスピーニー。ソフィア・コッポラで繋がる2人の交流と辿る結末に、特別な思いを抱かずにはいられない。

　予告編でも印象的に使われている、「What kind of American are you?（お前は、どの種類のアメリカ人だ？）」と問う兵隊役のジェシー・プレモンスや、アレックス・ガーランド作品には欠かせない存在となったソノヤ・ミズノも、出演シーンは短いながら圧倒的な存在感を発揮している。

　ここで描かれているのはあくまでフィクションではあるが、そこから混沌としたいまのアメリカが読み取れる。そしてそのアメリカを中心に動いているこの世界に生きる私たちも、決して他人事ではないと感じてしまう。

■公開情報
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開中
監督・脚本：アレックス・ガーランド
出演：キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニ―
配給：ハピネットファントム・スタジオ
2024年／アメリカ・イギリス映画／109分／PG12
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