食から観光名所、等身大のパリジャンまで 映画を通じて知る、フランスの文化とその魅力

『青春シンドローム』©︎1994 VERTIGO PRODUCTIONS - LA SEPT / ARTE
『猫が行方不明』©︎1996 Vertigo Productions-France 2 Cinema

 等身大のパリジャンを描くことに長けた監督として右に出る者はいないのが、セドリック・クラピッシュだ。『青春シンドローム』(1994年)、『猫が行方不明』(1996年)から『スパニッシュ・アパートメント』(2002年)といった作品で、時代ごとの若者の姿を浮き彫りにしてきた。その作品には、「こういうシチュエーション、あるある」パターンが多い。たとえば『猫が行方不明』に登場するカフェを舞台にしたネットワーク。こういう下町感覚のカフェは、よそ者でもふとあることをきっかけに輪に入れたりするものだ。ここでは「地元の主」とも言えるマダム・ルネに預けた愛猫がいなくなってしまったクロエを、カフェの常連やご近所仲間が親身に探してくれる。クロエがホモセクシュアルの男性とルームメイトなのも、あるあるパターン。むしろその方が、異性愛の男性とシェアするよりも女性側としては気が楽だったりもする。ルームメイトでも、プライベートはある一定の距離を持ってお互い干渉しない、というのがパリジャンの法則なのだ。

『突然炎のごとく』©︎1961 LES FILMS DU CARROSSE

 最後に、フランス映画といえば忘れられないのがヌーヴェルヴァーグである。1950年代末にジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、クロード・シャブロルらが、それまでの伝統的な映画的文法を否定し、手持ちカメラを多用し自由な作風のなかで作品を撮り始めた波(ヴァーグ)、もしくはその作品群を指す。このムーブメントは世界的に大きな影響を与え、今日でもヌーヴェルヴァーグの影響を受けた若手監督が跡を絶たない。なかでも人気が高いのはゴダールとトリュフォー。ゴダールは『勝手にしやがれ』(1960年)、当時パートナーだったアンナ・カリーナと組んだ『気狂いピエロ』(1965年)、トリュフォーは自伝的な初長編『大人は判ってくれない』(1959年)と『突然炎のごとく』(1961年)などが代表作だ。ジャンヌ・モロー扮するヒロインと男ふたりの三角関係を描いた『突然炎のごとく』は、今日観ても斬新な女性像で驚かされる。ヌーヴェルヴァーグとは、映像面のみならず、キャラクターからその語り口まで、すべてが画期的であったことをあらためて思い知らされる。

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