『虎に翼』“持ちつ持たれつ”に寅子が苦戦 伊藤沙莉が川にドボンするお決まりの展開も
新潟地家裁三条支部に赴任した寅子(伊藤沙莉)は、杉田太郎(高橋克実)をはじめとした支部の職員たちから大歓迎を受ける。「持ちつ持たれつ」を口癖のように話す杉田は、一見すると、寅子を気遣っているようにも思えるが、『虎に翼』(NHK総合)第77話で寅子は早くも「持ちつ持たれつ」の本当の意味を知ることになる。
昨年から新潟本庁刑事部に配属されている航一は交通事故の取り扱いについての説明で各支部を回っており、寅子のもとに庁舎増築の予算計画書を回収しに来た。相変わらず表情からは考えが読めない航一。「慣れましたか? 新しい暮らしに」と気遣う航一(岡田将生)に、寅子は「この町の方はとても親切で」と話すと、航一は「親切……」と含みを持たせたような返事をする。そこにやってきた太郎と次郎(田口浩正)が愛想よく振る舞い懐に入ろうとするが、航一にあっさりとかわされてしまう。
航一が「見送りは結構ですので」と兄弟の気遣いを断り、去って行ったのを見計らって、太郎は「チッ」と舌打ちをする。「郷に入っては郷に従え」とは言ったものだが、自分たちの歓迎を拒むものに対しては徹底的に排除しようとする。田舎ではよくある光景であるが、どうも居心地が悪い。
寅子が自宅へ帰ると、花江(森田望智)から手紙が返ってきた。「仕事も優未のことも手を抜かず全力で完璧にこなす」と書いて送った寅子に対し、花江から返ってきた言葉は「あなたは何にも分かってないわ」だった。寅子の前に幻想の花江が現れ、「トラちゃんにしかできないことがあるはず」と説得される。そう、寅子は仕事も家事も育児も全部完璧にやろうとしすぎていた。ひとりの人間である以上、全てを完璧にこなすのは難しい。まずは完璧であろうとせず、ありのままの自分で孤立してしまった優未(竹澤咲子)と向き合うことが必要なのかもしれない。