ミニオンズはなぜ世界的キャラクターに? 映画史の“王道”と“快楽”を備えた特別さ

 そう、『ミニオンズ』シリーズの「魅力」は、かつて映画がモノクロで、なおかつサイレントだった時代に人気を博した、チャールズ・チャップリンやバスター・キートン、ハロルド・ロイドといった「喜劇王」たちの映画に通じるような――あるいは、その影響化のもとアメリカで花開いた、ミッキーマウスをはじめとするディズニーアニメ、バックス・バニーが活躍する『ルーニー・テューンズ』シリーズ、あるいは『トムとジュリー』シリーズなど、「カートゥーン」と呼ばれたスラップスティックな短編アニメーション作品の流れを、「ミニオンズ」は間違いなく汲んでいるのだった。まさしく「王道」ではないか。

 その成り立ちや設定は、少々複雑ではあるけれど(そもそも「偶然の産物」だったわけで)、子どもから大人まで、誰が観ても思わずクスッと笑ってしまう普遍的なコミカルさが、ミニオンたちにはあるのだ。そこには、「キャラクターの復権」とでも言うべき側面もあったのかもしれない。ミッキーマウスやドナルドダックなど、誰もが知るキャラクターをいくつも擁しながら、近年の長編映画作品においては、「物語」の精度を高めることに尽力してきたディズニーに対して、あくまでも「キャラクター」の魅力によって、長編映画を――しかも、大ヒットシリーズを成立させてしまったイルミネーション。

『ミニオンズ フィーバー』©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 しかも、恐るべきことに、そのキャラクターは、ひとつや2つではないのだ。『ミニオンズ』シリーズの主人公であるケビン、スチュアート、ボブは、その本筋である『怪盗グルー』シリーズには、実はほとんど登場しないのだ(無論、彼らと同じようなミニオンたちは山ほど出てくるし、そのどれもが愛らしくて面白いのだけど、意外と名前がわからない・苦笑)。というか、来る7月19日に日本公開される『怪盗グルー』シリーズの通算4作目にあたる『怪盗グルーのミニオン超変身』の「メガミニオン」って何だ??? ことほど左様に、まだまだ増殖しそうなミニオンたちの世界に、そして今やすっかり「実は良い人」っぷりが隠せなくなっている「世界一の悪党」グルーの今後に、引き続き注目していきたい。

■放送情報
『ミニオンズ フィーバー』
フジテレビ系にて、7月15日(月・祝) 19:00~20:54放送
監督:カイル・バルダ
キャスト:スティーヴ・カレル/笑福亭鶴瓶、ピエール・コフィン、アラン・アーキン/市村正親、タラジ・P・ヘンソン/尾野真千子、ミシェル・ヨー/渡辺直美、ルーシー・ローレス/田中真弓、ドルフ・ラングレン/速水奨、ジャン=クロード・ヴァン・ダム/大塚明夫、ダニー・トレホ/立木文彦、RZA/宮野真守、鈴木拡樹、LiSA
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/movie/
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