ソン・ジュンギ&チュウォン出演の必見作 『財閥家の末息子』『スティーラー』に釘付け!

ソン・ジュンギ&チュウォン出演の必見作

 5月7日に開催された、“韓国のゴールデングローブ賞”こと百想芸術大賞。ノミニーや受賞結果を見てみると、韓国ドラマを支える俳優の層の厚さに改めて瞠目させられた。

 そこで今回は、WOWOWで放送・配信される韓国ドラマの中でも、特に俳優たちの名演が光る作品を紹介したい。

ソン・ジュンギ主演『財閥家の末息子~Reborn Rich~』 

『財閥家の末息子~Reborn Rich~』©Chaebol Corp. all rights reserved

 韓国で好まれるフィクションの題材に、“財閥もの”というジャンルがある。階級社会である韓国では、経済はもちろん、政財界まで裕福な大企業の影響が強い。多くが家族経営であるため内部の腐敗に甘く、不正に手を染めたり、影響力を行使して政治を牛耳るなど大きな問題となっている。『財閥家の末息子~Reborn Rich~』は、韓国社会に実在する“ヒール”、財閥を舞台に繰り広げられる。主人公ユン・ヒョンウ(ソン・ジュンギ)は、貧しい家柄ながら韓国の巨大財閥スニャングループに引き入れられ、会社に忠誠を尽くすチームリーダーだった。しかし、会社の危機にあっけなく切り捨てられ、何者かによって撃たれてしまう。死を覚悟したヒョンウだったが、目を覚ますと、そこはソウルオリンピックを翌年に控え、 民主化へと突き進む激動の1987年。何とスニャングループの創業者チン・ヤンチョル会長(イ・ソンミン)の孫・ドジュンの体に乗り移っていたのだった。思いも寄らぬ転生を果たしたヒョンウは、自分の殺害を指示した者を探りつつ、人生の逆転を狙い一族の中で成り上がっていく。

『財閥家の末息子~Reborn Rich~』©Chaebol Corp. all rights reserved

 昨今よく見られるウェブ小説原作の韓国ドラマの中でも特に出色の出来栄えだった『財閥家の末息子~Reborn Rich~』は、韓国世論調査会社ギャロップによる韓国人が好きなドラマランキングで、それまで第1位だった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を抜き首位を獲得。週に3回放送という近年の韓国ドラマでも異例の放送枠の多さだったが、最後まで飽きさせることなく最終回では26.9%を記録した。『夫婦の世界』に続きJTBC歴代視聴率2位を記録した。

 記録的な人気を博した理由は、キャラクターと繊細にシンクロする俳優陣が、ドラマを力強くしたことだ。ヒョンウは未来から来たというアドバンテージを生かし、大会社の買収を成功に導き、先見の明のある人物としてヤンチョル会長の信頼を勝ち得ていく。従来のリベンジものをさらにアップデートさせ、復讐という個人的な行為に留まらず、持たざる者が持つ者から権力を奪い社会構造を逆転させようとする展開に強いカタルシスがある。

『財閥家の末息子~Reborn Rich~』©Chaebol Corp. all rights reserved

 そんな複雑な主人公・ヒョンウに扮するのは、今や韓国の中堅俳優の一翼を担うソン・ジュンギ。かつて『トキメキ☆成均館スキャンダル』や『太陽の末裔』など、若々しいルックスを生かしたロマンティックな作品で人気を博したが、イタリアンマフィアの冷徹な顧問弁護士を好演した『ヴィンツェンツォ』で、陰のあるキャラクターも演じこなす力量を証明した。本作でも、冷静な野心家ヒョンウと頭脳明晰な少年ドジュンという年齢の違いと正反対の性質を完全に使い分けている。今年は映画『このろくでもない世界で』でキャリア初のノワールに挑戦するが、彼がいかに演技のレンジが広いかを予習としておくためにも、『財閥家の末息子~Reborn Rich~』を観ておきたいところだ。

『財閥家の末息子~Reborn Rich~』©Chaebol Corp. all rights reserved

 また、スンヒャングループのトップ、チン・ヤンチョルを演じたイ・ソンミンの怪演も凄まじい。慶尚北道にルーツを持つヤンチョルの訛りは、同じ慶尚道地方に属する大邱出身というイ・ソンミン本人にとっては最大の武器を発揮するタイミングだったかもしれない。しかしそれ以上に、くぐもった独特のトーンが高齢者の声色そのものだった。声の演技は特殊メイクではごまかせないため、演技者の力量が最も試される。刻々と衰えていくヤンチョルの生々しい姿も含め、初登場の瞬間から多くの視聴者を釘付けにした。ちなみに2023年の百想芸術大賞ドラマ部門で、イ・ソンミンは主演男優賞に輝いた。

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