『ブギウギ』趣里が中越典子との会話で見せた“許し”の演技 わだかまりが溶けていく感動
「あのおばあちゃんは誰? マミーのお友達?」という無邪気な愛子の質問に、スズ子はなかなか答えられずにいる。スズ子にとっての両親はツヤと梅吉という思いがありながら、キヌのことは目を背けていた部分があったのかもしれない。それは「許し」にも似た思いだ。キヌにとっても同じだろう。
スズ子はキヌの背中を見つめ、やがて愛子の目の高さにしゃがみ、「マミーのマミーや」と笑顔で教え聞かせる。その声を聞いたキヌが足を止め、ポロポロと涙を流す。振り返ったキヌの優しく、解き放たれたような表情が忘れられない。スズ子とキヌの会話はそこまで長くも、多くもないが、2人の間に流れる空気や表情の変化(特に中越典子)で15年の月日の長さと互いにあったわだかまりが溶けていく様子を表したのは見事である。
第23週全体で言うと、愛子を演じる小野美音の芝居に筆者は何度も泣かされた。梅吉と六郎(黒崎煌代)の分身のようなカメを可愛がったり、スズ子がかつてキヌから手渡された菊三郎の形見である懐中時計をもらったりと物語のいいアクセントになりながら、表情豊かな愛子を演じていた。第24週「ものごっついええ子や」の予告では大きくなった愛子が映し出されており、小野が演じる愛子としては第23週がおそらくラストになるのだろう。
ちなみに、第111話の終盤から『あさイチ』(NHK総合)の“朝ドラ受け”にかけて話題になっていた“チーン”こと、仏壇の鐘を叩く棒の名前は、りん棒である。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie