『相棒』寺脇康文がいるからこそ描けた犯人の“その後” 橘亭青楽約21年ぶりの再登場も

『相棒』橘亭青楽21年ぶりの再登場

 青楽は美奈子に、根津の印象について「一線を超えてしまった者の匂いがしない」と語っていたという。根津は務めていた鉄工所の社長を殺害し、800万円を奪った殺人強盗罪で無期懲役となっていた。現場に残されていた根津の名前入りの帽子や手形、足形が証拠となったのだが、右京は「真っ黒すぎる」と疑問を持っていた。本当に犯人なら少しでも証拠隠滅を測るのではないかというのだ。そこから右京たちは根津の事件に共犯者がいたのではないかと調べ始める。

 とは言っても、真実を一番知っているのは根津である。右京は弱っている根津の病室を訪ね、共犯者の存在について聞くが、根津は誰かを庇っているような様子を見せるがなかなか本当のことを話そうとはしない。そこで右京は「今、あなたが守るべきなのは誰ですか」「犯した罪を償うことなく逃げ仰せている男か、あなたのために懸命になっている青楽さんか」と問いかける。そして「あなたが話さなければ永久に青楽さんは帰りませんよ」と強く言い、最後には根津の耳元で「根津さん!」と呼びかけた。右京の思いが通じたのか、根津は弱々しく「刑事さん、助けてくれ、師匠を」とつぶやいた。じっとお互いを見つめる右京と根津は静かではあるが、確かにそこに男同士の熱い人間ドラマが展開されていた。

 青楽は、真犯人に繋がる凶器の隠し場所を根津から聞き出していた。本当は、それを右京に教えようと思っていたのだ。どうやらその前に襲われてしまったらしい。助かった青楽は右京たちとともに根津の病室を訪れた。根津に高座に復帰することを報告した青楽は、同時に人を笑わせられるか不安であることも吐露した。すると根津は「俺は、師匠の落語に救われたよ」と絞り出すような声で答えた。青楽は根津に落語を教える立場ではあったが、逆に根津に教えられることもあったと言う。青楽と根津は上下関係を超え、犯した罪から再び立ち上がろうと支え合っていたのだろう。右京と根津とは違う、こちらも熱い男たちの強い絆が感じられるこの場面は大きな見どころのひとつだった。

 右京と亀山は青楽の高座を鑑賞し「いい夜ですね」ととても満足そう。舞台袖では、美奈子が青楽を温かく見守っており、青楽を取り巻く素敵な関係性に胸がいっぱいになった。過去には罪を犯し、今回は被害者となってしまった青楽。波乱万丈ではあるが、きっとそれをも“芸の肥やし”にできるのが落語家なのだろう。これからさらに幸せな人生を歩んでほしいと願わずにはいられない。

■放送情報
『相棒 season22』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00〜放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西 惇、田中隆三、松嶋亮太、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二、美村里江、新納慎也、真飛聖ほか
脚本:輿水泰弘
監督:権野元
制作:テレビ朝日/東映
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式X(旧Twitter):@AibouNow
公式Instagram:@aibou_official

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