『ファンタスティック・ビースト』敵対する2人の変わらぬ愛 ニュートの成長を感じる台詞も

 また、『ハリー・ポッター』から通底していると感じる部分は他にもある。前シリーズがファンタジーながら世界中の読者を魅了したのは、単にファンタジーの要素を緻密化し、リアリティを持たせただけでなく、登場人物たちそれぞれが抱える複雑な「愛」における感情を拾い上げて描いていたからだ。本作でも、敵対するグリンデルバルドとアルバスの過去にも触れ、彼らの間に今も変わらず漂い続ける「愛」をほのめかす場面が印象的だ。彼らの間の「愛」は2作目にも登場する、互いに争いができないよう誓った「血の誓いのペンダント」の存在でよりいっそう誇張して描かれる。そういった「愛」にまつわる描写にも、魔法ワールド特有の魅力を感じざるをえない。

 そして忘れてはいけないのが、この物語が主人公ニュートの成長譚であることだ。『ハリー・ポッター』でもそうであったように、『ファンタスティック・ビースト』にも主人公の成長物語であるというセオリーは継承されている。魔法使いとしては勿論、世界にまなざしを向け、自分はどのような行いをすれば良いのかを考えるひとりの人間として、ニュートは1作目から3作目にかけて目に見えるように成長する。魔法動物だけでなく、周囲にいる人間たちや魔法界全体の未来に考えを向けるようになるのだ。

 1作目との違いを感じることのできるニュートの発する台詞が3作目にはちりばめられているので、ぜひそういった視点でも物語を楽しんでもらえればと思う。

 『ファンタスティック・ビースト』シリーズは開始当時から全5部作と報じられていたが、デヴィッド・イェーツ監督によると現在はさまざまな理由から続編の製作が棚上げ状態だという。魅力多き作品なだけに、非常に残念でならない。どうか彼らの行く先を最後まで見守れるよう、祈り続けるばかりだ。

■放送情報
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
日本テレビ系にて、2月2日(金)21:00~23:44放送
※放送枠50分拡大
監督:デヴィッド・イェーツ
脚本・製作:J・K・ローリング、スティーブ・クローブス
製作:デヴィッド・ヘイマン、ライオネル・ウィグラム、ティム・ルイス
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、ジュード・ロウ、エズラ・ミラー、カラム・ターナー、ウィリアム・ナディラム、ジェシカ・ウィリアムズ、ポピー・コービー=チューチ、マッツ・ミケルセン
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