『正直不動産2』福原遥VS倉科カナ、それぞれの魅力が光る 名子役・永尾柚乃も活躍
一方、花澤は月下とは対照的にクールな印象を抱くが、同い年の子供がいる岡田夫妻の妻・美玖に寄り添ったり、月下との“第2ラウンド”を彼女なりにイキイキとして受けて立つ様子があったりと、月下とは異なる人情味が感じられた。
月下とラーメン屋で張り合う姿もコミカルで強く印象に残っているが、最も心に響くのは、物語終盤に見せた顔つきだ。花澤は自分の経験から美玖に別居を提案していた。月下は「花澤さんは本当にいいんですか? このまま売却をせかして岡田さんたちが別居することになっても」と訴えるが、花澤はキッパリと「それはあの2人が決めることよ」と言い切った。夫婦の関係に何か思うところがあったとしても、不動産と家の中の話をはっきりと区別し、夫婦の決断に水を差すことはしないのが花澤だ。そんな花澤だが、永瀬と月下が夫婦のために導き出した提案には納得がいったのだろう。その場を立ち去る前、花澤は「第3ラウンドは負けないから」と言った。その表情はどこか晴れやかだ。気持ちの良い売買の現場に立ち会えたことに喜びを感じていたのかもしれない。息子・北斗(尾込泰徠)を迎えに行った花澤はとても充実した顔をしている。「ママ、何かうれしそう」という息子の言葉が、花澤の心を代弁していた。
月下と花澤、2人の提案がなければ、岡田夫妻はすれ違いの原因にお互い目をつぶったまま、ケンカを続けていたことだろう。岡田夫妻が、狭小住宅を購入した時に口にしていた「みんなで一緒にいられる時間に寄り添っていられる家」を手にいれる結末にたどり着いた時、月下と花澤がほっとした面持ちで家族を見つめていたことに胸がいっぱいになった。
■放送情報
『正直不動産2』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、泉里香、松本若菜、長谷川忍、板垣瑞生、松田悟志、馬場徹、伊藤あさひ、財津優太郎、山﨑努、大地真央、倉科カナ、高橋克典、草刈正雄ほか
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)
脚本:根本ノンジ、清水匡、木滝りま
音楽:佐橋俊彦
主題歌:小田和正 「so far so good」
制作統括:黒沢淳(テレパック)、山本敏彦(NHKエンタープライズ)、長谷知記(NHK)
プロデューサー:室谷拡(テレパック)、樋渡典英(NHKエンタープライズ)
演出:川村泰祐(アンドリーム)、金澤友也(テレパック)ほか
写真提供=NHK