2024年はラノベ原作アニメが大豊作 『転スラ』など“最強主人公”はなぜ好まれる?
1月も中旬を過ぎ、冬アニメの初回が出そろいつつある今日この頃。2024年は、ライトノベルを原作としたアニメが大豊作な年であることをご存じだろうか。
『転生したらスライムだった件』第3期、『魔法科高校の劣等生』第3シーズン、『この素晴らしい世界に祝福を!3』……。少々気が早い話だが、4月から始まる春アニメだけでも超絶豪華なラノベ作品が名を連ねている。
この記事では、ラノベ原作の神アニメに宿る「人気の理由」を2024年放送の作品郡から考察。視聴者を引き付けるラノベ作品について、その共通点を探っていこう。
大人版の“戦隊ヒーロー”? 主人公の活躍がもたらす安心感
『転生したらスライムだった件』『魔法科高校の劣等生』を挙げれば、その共通点はやはり「主人公が異様に強い」こと。
強い主人公たちが支持されている理由は、彼らの活躍が最近の若者に安心感を与えているからだろう。
筆者も含めた最近の若者にとって、彼らは戦隊ヒーロー作品のような夢を見せてくれる貴重な存在なのだ。
バブルがはじけて不景気が続き、賃金は上がらないのに値上げは激しい。そんな風潮のなかで青春時代を過ごしている私たちに、「努力」「熱血」「いじめられる主人公」といった話題は正直辛い。
『転スラ』のリムルも『魔法科』の達也も、生まれてきた時から強く「苦しい目に遭わずとも上手くいく」と暗に示しているからこそ、彼らは好かれるのである。
なお、昔から強い主人公が出てくるアニメは存在するが、ラノベ原作アニメが広がり始める2010年代より前は、バッドエンドのようなアニメが多いように思う。
『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジのようにその力で友人を殺めたり、『DEATH NOTE』の夜神月のように自分の力だと思っていた武器で命を落としたり……。
主人公とその周囲の人々が幸せになるかという観点も、ラノベ原作アニメが流行し始めた2010年代以降とそれより前のアニメを大きく分ける要素なのだろう。
最近のアニメに登場する強い主人公たちは、ピンチに陥ってもほとんど必ず、その困難を乗り越えて報われる(『魔法科』の達也は数多くのチート能力を持っており、アニメ19話では銃で心臓を撃ち抜かれても一瞬で回復するタフさを見せている)。
こうしたラノベ作品の主人公は「周囲を救う存在」であり、深夜に放送されるからこそ、大人が気軽に楽しめる“戦隊ヒーロー”として支持されているのではないだろうか。