『セクシー田中さん』木南晴夏の田中さんは本当に美しかった “感謝”にあふれた最終回

『セクシー田中さん』感謝にあふれた最終回

 『セクシー田中さん』(日本テレビ系)最終話が12月24日に放送された。三好(安田顕)のことも笙野(毎熊克哉)のことも圧倒した田中さん(木南晴夏)のタフさは我々の想像以上だった。

「みんな毎日変わっていく。明日何が起こるかなんかわからない。ワクワクしない? 無難な人生なんて僕は存在しないと思うけど」

 三好(安田顕)は、田中さんから拒まれ困惑気味だけれど、なんだかそれもちょっぴり嬉しく楽しそうに言った。

「あれから毎日生きる理由を集めてる(中略)ね、ワクワクするでしょ?」

 これは、田中さんに「退屈な毎日を変える魔法」を教えてもらった笙野(毎熊克哉)の母親・悦子(市毛良枝)が言った言葉だ。

 世間や周囲から悪目立ちせず、いちいち説明なんて必要なしにでも受け入れられ、わかりやすく「幸せ認定」してもらえるような“年相応”で順当な人生……。それが自らの本心から望んだ「自分の人生」ならばなんら問題ないが、「不幸にならないためのリスクヘッジ」で、本当に自分が欲しいものが何かわからぬままにすり替えた先の手近で妥当な道だったならば、どこかで支障をきたしてしまうのかもしれない。

 三好からの願ってもみない好意をすんなり受け入れられなかった自分に誰より驚きを隠せない田中さんは、「これから何を目標に踊ればいいのか、自分で自分のことがわかりません」と大混乱し、食事もままならずベリーダンスの練習どころではない。それを知った小西(前田公輝)が呟いた「“誰かのために”って案外脆いなぁ」という言葉は本質を突いているかもしれない。

 自分という存在に無関心で、そのくせ旧式の「家庭像」にだけは厳格で、まるで妻のことを家政婦かのように扱う夫との結婚生活を、「ずっと虚しくて。埋めたかったのよ、ポッカリ開いた穴を、わかりやすい『幸せ』で」と振り返る、これまで家族第一優先で生きてきた悦子の言葉が重なる。

 油断すると自分のことを簡単に見くびりたくなってしまうような出来事なんて日々の中でたくさん溢れているし、そう思ってしまえた方が楽な気がする時だってある。だけど、人は常に変化しているし、意図的に変わることだってできる。昨日までの自分はいつでも脱ぎ捨てられるし、少しの変化も見逃さず楽しめたならば、生活は、人生は今よりずっと豊かで面白くたくましいものになる。冒険はいつからだって始められる。

 田中さんも悦子も、そして朱里(生見愛瑠)も日々の小さなことにクヨクヨしてしまうことだってもちろんあるけれど、自分が思っているよりも実はずっとずっと身軽でタフで自由だ。自分が気づいていないだけで、すでに随分遠くまで進んでいたりする。そしてそんなことに気づかせてくれて、見守ってくれる友や大切な人が数人、近くにいてくれたならば、それで十分すぎるだろう。

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