『セクシー田中さん』木南晴夏の田中さんは本当に美しかった “感謝”にあふれた最終回

『セクシー田中さん』感謝にあふれた最終回

 人生のどん底にいる気がする瞬間に、“一つ一つは些細だけど、集めると生きる理由”になるピースを一緒に探してかき集めてくれる田中さんと朱里のような。

「伸びやかで自由で大胆で、この人には敵わない。不器用だし人よりは時間かかるかもしれないけど、彼女なら自分で解決できる」

 そんな言葉を田中さんに迷いなくまっすぐかけてくれる笙野のような存在が。そしてそれは現在進行形で大切な人じゃなくたっていいし、その相手とわかりやすい形で結ばれなくったってもちろんいい。

 「君のダンスはへっぽこだけど人を変える力がある」という進吾(川村壱馬)の言葉に救われた朱里のように。離婚届を突きつけて夫と初めて喧嘩ができたことに喜び、病院内で問題児として扱われる人生初の出来事になんだか嬉しそうな悦子のように。

 「あなたに埋めてもらわなくてもお母さんもう平気だから」と、自分の人生の欠けている気がするピースごと丸ごと抱きしめて、それをも面白がって日々を見つめ直せるようになった悦子の晴々とした顔は忘れられない。

 自分の気持ちに正直になった笙野との息ぴったりのクリスマスステージの後、一番の味方である朱里の「行ってらっしゃい」というエールに送り出されてダンス留学に発つ田中さんは息を呑むほどに美しかった。いきなり大きくジャンプするのではなく、日々の小さな葛藤や躓きの連続の先に、周囲から見ると“思い切った大きな決断”というものがあるのだろうなと思わされた。

 田中さんが既に旅立ったことを知らされ、呆然とクリスマスツリーのてっぺんに高く輝く星を見つめる笙野。そんな笙野の何気ない言葉こそが田中さんに自分を信じる力を思い起こさせ奮起させたのだから、人生や人との出会いの妙の面白さにも思わず感じ入ってしまう。誰かのちょっとはみ出た言動が、また誰かの人生を少しずつ決定付けていくのだ。彼らの無傷ではない、だからこそ一段と燦々と輝く決断の連続をずっと側で観せてもらえたことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいだ。

■配信情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
TVer、Huluにて配信中
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
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