2023年の年間ベスト企画
荻野洋一の「2023年 年間ベスト映画TOP10」 1位から4位までを女性監督が占める
トップテンからは惜しくも漏れてしまった中で、他に感銘を受けた作品を少しでも挙げておきたい。11位は異才ベルトラン・マンディコ監督『ワイルド・ボーイズ』。日本国内ではJAIHO限定配信となった夢魔的な衝撃作。担任教師に暴行を働いて懲罰的な矯正プログラムに送られた不良少年グループの無人島での体験が、怪奇幻想譚としてグロテスクに描かれる。最後には砂浜で不良少年たちの男性器がことごとく剥落し、無性化していくシーンは、2023年で最も強いインパクトをもたらすシーンだ。12位はジェームズ・グレイ監督自身の悔恨に満ちた少年時代を描く『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』。13位は同性愛者が投獄されてしまう時代に受刑者男性二人の密かな愛を辿るセバスティアン・マイゼ監督『大いなる自由』。
最後に14位、ジェームズ・ガン監督『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。傑作だった前作のDC陣営『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)のあとにいったんMCU陣営に戻り、『ガーディアンズ〜』のシリーズを心地よく完結させた。これをもってマーベルへの置きみやげとし、ジェームズ・ガンはライバル陣営であるDCユニバースの総帥となり、新たなキャリアが始まる。
■公開情報
「A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT」
ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほかにて4週間限定公開中
U-NEXTにて、2024年1月26日(金)より独占配信
配給:U-NEXT