眞栄田郷敦、初主演映画で受けた衝撃 「ドキュメンタリーのような感覚でした」

「“俺はもの作りが好きなんだな”と再認識できた」

――池内博之さん演じる友部とのシーンが多かったですが、いかがでしたか?

眞栄田:すごく近い距離でお芝居ができました。どこか自分の父親みたいな気持ちになるときも多くて、自然な感情で接することができました。もちろん池内さんのお芝居の力もありますが、演じるというよりは自然な気持ちで掛け合いができました。

――とても余白のある作品でしたが、主演として何か意識したことはありますか?

眞栄田:たまたま惹かれた作品で演じた役が光だったというだけで、あまり主演であることを意識はしませんでした。ただ、撮影を通じて、初めて自分は伝えていかないといけない立場なんだということを実感しました。何をどう伝えていけばいいのか。この映画からいろいろと感じるものはありますが、最後にある「戦争は理屈ではなく、ダメなんだ」というメッセージは特に、しっかりと伝えていく必要があるのかなと思っています。

――友部が「自分の目で見て、耳で聞いていないものを簡単に信じるな」と光に言うシーンがあります。眞栄田さんは情報過多の現在をどのように生きていますか?

眞栄田:難しいですよね。見たものでも誤解してしまうこともありますし。僕が心掛けていることは、いろいろな意見にしっかりと耳を傾けることです。物事って、片方から見ると悪いことでも、違う方向から見ると良いこともあるじゃないですか。最終的には自分で決断するのですが、多方面から見た上で判断するようにしています。

――本作はモノクロの世界のなかで、人の美しさや醜さがとても鮮明に映し出されているような印象でした。眞栄田さん自身は完成した作品をご覧になって、どのようなことを感じられましたか?

眞栄田:本当に「光、良かったな」と心から思いました。第3部で光は好きなことをやって、好きな人といられて、こんなに美しい世界を見ることができたんだ……と思ったら、作品に内在するメッセージなんか正直どうでもよくなって、「光、良かったな」という言葉が浮かんできました。

――今回の作品に携わったことで、俳優としてなにか力になったなと感じたことはありましたか?

眞栄田:今回映画で初主演をやらせていただいたのですが、正直あまり気負うことはなかったんです。でも、ほとんどのシーンに出させてもらうことで、撮影時間も長く、監督やスタッフさんと関わることも非常に多かった。そこでプロフェッショナルな方々が、それぞれの考えを持って作品に臨んでいるということを強く感じました。僕もしっかりと意図をくみ取り、ときにはディスカッションをしながら作品を作ることができたことは、とても楽しかったですし、大きな喜びでした。改めて「俺はもの作りが好きなんだな」という確固たる気持ちが再認識できました。

■公開情報
『彼方の閃光』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
監督・原案・音楽:半野喜弘
脚本:半野喜弘、島尾ナツヲ、岡田亨
出演:眞栄田郷敦、池内博之、Awich、尚玄、伊藤正之、加藤雅也
配給:ギグリーボックス
制作:GunsRock
©︎彼方の閃光 製作パートナーズ
公式サイト:https://kanatanosenko.com/

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