眞栄田郷敦、初主演映画で受けた衝撃 「ドキュメンタリーのような感覚でした」

眞栄田郷敦、初主演映画で受けた衝撃

 青春ものから、メッセージ性の強い社会派作品、さらにはマンガ原作のキャラクターなど、近年幅広い役柄を演じ、高い評価を受けている俳優・眞栄田郷敦。映画『彼方の閃光』では、戦後の日本人、米軍基地、長崎、そして沖縄など数々のテーマに取り組んできた日本を代表する写真家・東松照明の写真に惹かれ、戦争の傷跡が残る長崎・沖縄をたどる青年・光を演じた。

 光は幼いころに視力を失い、手術が成功したものの、色彩を失った。そんななか東松の写真に魅せられ、導かれるように撮影場所に吸い寄せられる。眞栄田自身、脚本を最初に読んだときには「なぜそこまで東松さんの写真に光が惹かれていったのか、理解するのが難しかった」と言うが、東松のことを調べていくうちに、光の行動原理が腑に落ちたという。

 半野喜弘監督が監督・原案・脚本・音楽を務め、ほぼ全編モノクロームの世界を表現するために集まったプロフェッショナルなスタッフたちが、美しくも力強い映画を作り上げた。そんなチームで主演を務めたことで、眞栄田はいろいろと感じることがあったと語る。

長崎&沖縄の撮影は「ドキュメンタリーのような感覚」

――戦争というテーマが多面的に描かれている物語でしたが、脚本を読んでどんな感想を持ちましたか?

眞栄田郷敦(以下、眞栄田):読み終わったあと、言葉にならない余韻がありました。難しい要素が含まれている作品ですが、自然と光というキャラクターに惹かれていました。

――どんな部分に惹かれたのですか?

眞栄田:感覚的に「演じたい」と思ったんです。幼少期に目が見えなくなり、手術は成功し見えるようになったのですが、色彩がない。そういう経験をしている光が、旅をすることでどう変化していくのかを表現することにチャレンジしたいと思いました。

――光はそこまで大きな変化を遂げるキャラクターではなかったと思うのですが、そのなかでどのような変化を意識したのですか?

眞栄田:やはり見えないということで、周囲に対してどこかとんがってしまう部分を持っていると思ったんです。最初はその気持ちを意識していました。だから、旅先で出会った友部(池内博之)が「この世の中はクソだ」と言っていることに共感していった。でも、だんだんといろいろな事柄に触れていくうちに、苦しみを知っているからこそ、人に対して温かい気持ちを持ったり、優しくなれるんだと気づく。変化というより、本質に気づいたところの気持ちをしっかりと表現できたらと思って演じました。

――色彩のない世界を生きる光を演じる上で意識したことはありますか?

眞栄田:幼少期に目が見えなかった影響で、触ったり、匂いを嗅いだり、視覚以外のものを頼りにする癖みたいなものは意識しましたが、色が分からないことに対しては、物理的に何か表現しようとは思っていませんでした。

――写真家の東松照明さんについては、どのようにアプローチしましたか?

眞栄田:光がなぜ東松さんの写真集に惹かれたのか、こだわったのかが最初はあまりピンとこなかったんです。そこで真っ白な気持ちで東松さんの写真集を見てみると、写真家として媚びていないというか、感情移入しすぎずにありのままを切り抜いているように感じたんです。光は目が見えずに美しいものに出会えなかった一方で、どこか物の本質を追い求めていたのかなと。それを東松さんの写真のなかに感じたのかなと腑に落ちたんです。

――長崎や沖縄での撮影はいかがでしたか?

眞栄田:轟の壕や辺野古に行ってみて衝撃を受けました。もちろん、そこでどんなことが行われていたかも聞いていたのですが、実際に行ってみると想像を超えていました。そのとき感じたものが映像にそのまま出ている気がします。光を演じているのですが、リアクションは自分というか……。ドキュメンタリーのような感覚でした。轟の壕は撮影で長時間入っていたのですが、とにかく出たくなったし、外に出たときの光のまぶしさや温かさ、空気のありがたみを実感しました。行けてよかったです。

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