小関裕太が“年齢”に感じる面白み 30代までの“余白”は「焦ることなく、のんびりと」

小関裕太が“年齢”に感じる面白み

「“自分で作っている感覚”がかなり強くなった」

――今回の“挑戦”は?

小関:いろいろなことに挑戦してきた中で、「今まで経験したことがあるものを、より深めて、踏みしめてみよう」という気持ちがこの1、2年にあったので、今回は再び物語性のある作品を作りたいと強く思っていました。やっぱり19歳の頃とは感覚も変わっているし、役柄も含めてこのタイミングだったからできたのかなと感じました。

――役作りについても聞かせてください。

小関:今回はヤクザ映画をたくさん観ました。ト書きにあるわけでもなく、友人が捕まっているシーンはわりと抽象的に描かれているんですけど、なんとなく“冷たい空間の中で殴られている”と聞くと、ヤクザ映画を彷彿させるなと思って。殴られているリアルさや汗の感じ、絆の強さだったり、特殊なヤクザ社会がどういうものなのかを知りたかったし、そこで新しく得た価値や世界観もたくさんあって、そういった意味でもすごく挑戦的な作品になったと思います。

――結婚式でのダンスシーンが印象的ですが、振り付けもご自身で?

小関:そうですね。“苦悩”がダンスになっているので振付というほどではないですが、楽しんでいただけると思います(笑)。『走れメロス』では、友人が囚われていることを思い出して「逃げたい」と思ってしまう瞬間が描かれていますけど、『メロスの誕生』の主人公は一瞬どころかずっと苦悩していて。恋だったり、性欲だったり、酒、金、夢と人間の欲望がたくさん彼の前に立ちはだかって、さて彼はその苦悩に勝てるのか、ということが短編に凝縮されています。この作品を観てくださる方々がもしご自身を重ね合わせてくれるのであれば、苦悩と闘うときに何がブレーキになるのか、何が自分を突き動かす原動力になるのか、ということを感じてもらって、みなさんの背中を押せるような作品になっていたらいいなと思います。

小関裕太(写真=服部健太郎)
小関裕太(写真=服部健太郎)
小関裕太(写真=服部健太郎)
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――これまでの出演作の中でも、小関さんの大人な一面が観られる作品になるのでは?

小関:そうかもしれないですね。『Drawing Days』には、20歳を過ぎて初めてお酒を飲んでベロベロになるシーンがあって、19歳でよく酔っ払いを演じたなと思います。当時は先輩方の酔った姿を参考にお芝居をしていたんですけど、僕もこの8年間でわりとお酒は飲んできたので、そこはリアルになっているんじゃないかなと思います(笑)。

――(笑)。19歳の頃とは、作品との向き合い方も変わったと思います。

小関:撮影に入るまでの段階でも、脚本や意図について話したり、深めたり、変えていったり。現場でもアイデアを投げ合って、受け止めて、投げてもらって、それをまた受けて……というキャッチボールができました。『Drawing Days』のときには、やれるだけでありがたいので「全部受けます!」「100%感謝!」という感じだったので、「もっと『こうしたい』とか言っていいんだよ」と言われたこともあって。それを思うと、今では感謝の気持ちをしっかり持ちつつ、“自分で作っている感覚”がかなり強くなったなと思います。

――すべてを受け入れていたところから、どう今のご自身に変化していったのでしょうか?

小関:『Drawing Days』で、気づきをもらいました。やっぱり若かったので、監督と話し合おうにも、うまく自分の思っていることが伝わらないような気がして、伝えられないこともあったんです。そこからすぐに変われたわけではないですけど、自分が言い出しっぺになった作品が完成して、充実感、達成感、自信が生まれたことで、少しずつ自分の意見を投げられるようになったのかなと思います。

――今回は『Drawing Days』『メロスの誕生』の両方が観られるので、成長を感じられそうですね。

小関:確実に感じていただけると思います。19、20歳のときとは写真を見るだけでも雰囲気が違うなと思いますし、映像なので声もそうだし、考え方の違いとかも出るんじゃないかなと。僕はまだ見比べていないですけど、絶対に差はありますし、それがいいコントラストになっていたら嬉しいです。

――小関さんは今28歳ですが、30歳を前にしたご自身のテーマを教えてください。

小関:20歳を過ぎた頃に「自分の思い描く30歳になるための10年間だと思って過ごそう」と考えて、21、22歳くらいのときに「ハンカチを持っている男性って素敵だな」と思ったんです。(ハンカチをポケットから取り出しつつ)今も持っていますけど、ハンカチってすごく面倒くさいもので、別になくてもいいのに、わざわざ洗濯をして、乾燥させて、畳んでしまって、また出して……。その余裕が「やらなくてもいいことにあえて向き合っていく」という姿勢に重なる気がして、そういった意味も含めてずっと続けてきました。20歳のときには『王様のブランチ』(TBS系)に準レギュラーで出るなんて思っていなかったし、今では佐藤栞里さんや藤森慎吾さんをはじめ、バラエティ界で活躍されている方と仲良くなって、いろいろな価値観を知ることができてすごく面白いです。30歳までに「これをする」ということはもう済んでいるので、残りの時間は“余白”として考えて、出会うと思っていなかった人や新たな価値観と出会えることを楽しみに過ごせたらいいなと思いますね。それ以外は焦ることなく、のんびりと。雲一つない空を見たり、「秋だなぁ」と思ったり。時間はすぐに過ぎるし、そういう瞬間を逃すのはもったいない気がするので、この1年ちょっとはもがきながら、走りながら、しっかり楽しんでいけたらいいなと思っています。

■放送情報
「2ヶ月連続 小関裕太に落ちたい」
日本映画専門チャンネルにて、12月18日(月)19:30〜放送

<12月放送作品>
『Drawing Days』
監督・脚本:原桂之介
出演:小関裕太、古舘寛治、須藤理彩、根岸季衣
※TV初放送

『小関裕太 22你好』
出演:小関裕太
※TV初放送

『Kiitos![キートス]~Yuta Koseki in Finland~』
出演:小関裕太
※TV初放送

【オリジナルショートドラマ】『メロスの誕生』
監督:中川龍太郎
脚本:神山慎太郎、中川龍太郎
出演:小関裕太、前原滉、新谷ゆづみ、大峰ユリホ、二ノ宮隆太郎、黒田大輔ほか

<1月放送作品>
『主観ドラマ オートリバースの恋』未ソフト化
出演:桜井日奈子、小関裕太、つるの剛士、片桐はいり

舞台『FROGS』
演出:岸谷五朗
脚本:喜安浩平
主題歌制作:新藤晴一(ポルノグラフィティ)
出演:小関裕太、平埜生成、溝口琢矢、松岡広大、太田将熙、山下銀次、三本健介、小池成
※TV初放送

特設サイト:https://www.nihon-eiga.com/osusume/koseki-yuta/

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