『ブギウギ』スズ子と秋山がシンクロする「センチメンタル・ダイナ」 不穏な次週予告も

朝ドラ『ブギウギ』スズ子と秋山のシンクロ

 『ブギウギ』(NHK総合)第35話のラストで歌われるのは、「センチメンタル・ダイナ」。善一(草彅剛)が作曲、藤村(宮本亞門)が作詞を担当した、スズ子(趣里)への書き下ろしの新曲だ。梅丸と日宝を巡るスズ子の移籍問題、その渦中で彼女が経験した松永(新納慎也)への失恋と秋山(伊原六花)との別れ。一見すると「センチメンタル・ダイナ」は失恋の曲に思えるかもしれないが、その経験をバネにしてもう一度奮起していくような力強い希望の歌。自分らしい選択を経て、次のステップを踏んだスズ子と秋山の楽曲でもある。

 スズ子が日宝の誘いを断ってまで、梅丸に残ったのには、善一の存在が大きな理由にあった。善一が作る曲を歌いたいというだけでなく、彼は自分を「梅丸の福来スズ子」ではなく、一人の「福来スズ子」としてのファンで接し続けてくれている。それがスズ子にとってはいつしか大切にしてくれる場所に変わっていた。自分の価値を見つめ直し、梅丸に給料アップの交渉をする姿には、かつての大和(蒼井優)の姿が重ならなくもない。

 一方の秋山は中山(小栗基裕)からのプロポーズを断り、大阪でもう一度男役として踊ることを決めていた。「自分が自分らしく生きられるのは大阪」だと自分に気持ちに正直に生きることにした秋山の姿は、スズ子の背中を後押ししていた。

 「ラッパと娘」とは違い、哀愁の漂う出だしの「センチメンタル・ダイナ」は、今のスズ子への当て書きということもあり、ステージも夜の都会の喧騒に一人佇むセットが組まれている。だが、サビに入るとスズ子の表情は一変。イキイキとしたスウィングの女王へと切り替わるタイミングと大阪に向かう汽車の中でタップを踏む秋山とのダンスは、まるで2人の心がシンクロしているかのようだ。「いつもほがらかに 希望にもえて」というフレーズで映し出される秋山の瞳には憂いはなく、むしろもう一度大阪でリスタートできる喜びに溢れているかのような希望が感じられる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる