『永遠の0』meets『ゴジラ・ザ・ライド』? 『ゴジラ-1.0』は音響のいい映画館で観よう

『ゴジラ-1.0』は音響のいい映画館で観よう

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ゴジハムくん世代の花沢が『ゴジラ-1.0』をプッシュします。

『ゴジラ-1.0』

 ちょうど1年前の2022年11月3日。本作の公開が発表された際、正直に言うと「また?」という感想が脳裏に浮かびました。2016年の『シン・ゴジラ』以降、ハリウッド版やアニメ版が毎年のように劇場公開され、さらにはあきらかにゴジラを意識した迷作『大怪獣のあとしまつ』なども飛び出し、ゴジラというモチーフに新鮮味を感じられなかったのです。

 加えて山崎貴監督といえば、日本のVFXの第一人者。そのため、『ドラえもん』や『ルパン三世』、『ドラゴンクエスト』など人気作のリメイクを一手に引き受けている印象があり、今回もいわゆる“頼まれ仕事”の一貫なのでは? という懸念がありました。

 しかし、ここで思い出しておくべき作品が2つあります。1つは『ALWAYS 続・三丁目の夕日』。この映画の冒頭で、山崎監督は“夢オチ”という形で、昭和の東京に現れたゴジラと逃げ惑う人々を圧巻の迫力で描いています。そしてもう1つが、西武園ゆうえんちの『ゴジラ・ザ・ライド』。山崎監督が映像を手がけたこの体験型アトラクションは、自衛隊の装甲車に乗り込み、巨大生物が襲来した東京から脱出するという設定で、緻密に表現されたゴジラの皮膚や質感に、往年の『ゴジラ』ファンからも高い評価を得ています。つまり、山崎監督はゴジラに相当強い思い入れがあり、特に「昭和を舞台にした『ゴジラ』を作りたい」という野望をずっと持っていたようなのです。

 結果として本作は、映像体験として今年トップレベルに素晴らしく、山崎監督の集大成ともいうべき内容でした。ストーリーはざっくり説明してしまえば、『永遠の0』meets『ゴジラ・ザ・ライド』。特攻隊に召集されながらも生き残ってしまった主人公・敷島(神木隆之介)が、戦後東京に現れたゴジラから人々を守るため、再び命をかけて戦う覚悟を決めるというものです。

 『永遠の0』や『アルキメデスの大戦』からも伝わってくる、山崎監督の「カッコいい零戦や戦艦が描きたい!」という欲求が存分に発揮され、高雄や雪風といった実在の重巡洋艦や駆逐艦も大活躍します。一方、焦土と化した町並みや、戦後何年経っても癒えない心の傷を描くことで、“反戦”を訴えるバランス感覚は絶妙です。

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